論理イメージ読解: これが令和の英語読解

日本ではずっと英語読解=「日本語訳」という思い込みが強過ぎて、読解力がなかなか上がらないどころか英語ができなくなるという状況が続いてきました。英語教育の一般化から70年。時代は令和です。そろそろ「日本語訳」に頼った英語読解はやめません?


前にも出したやつですが、一般的な「日本語訳」に頼った読解はだいたいこんな感じ。

We are already very familiar with the harms that smoking causes to the body later in our life.

We are→私たちは
already →すでに
smoking→喫煙が
in our life→私たちの人生で
later→後で
causes→もたらす
the harms→害に
very→とても
familiar with→精通している

私たちはすでに喫煙が私たちの人生で後でもたらす害にとても精通している

進んで戻ってジャンプして大騒ぎです。


同じ文章を「論理イメージ読解」で読解するとこうなります。

We are already very familiar with the harms that smoking causes to the body later in our life.

We are already
  →すでにある状態になっているというイメージ
very familiar with
  →我々がよく知っているというイメージ
the harms
  →害・何か悪いことのイメージ
that
  →harmsの追加説明
smoking causes
  →喫煙がもたらす害のイメージ
     =肺ガンなどの病気・寝タバコによる火災など?
to the body
  →身体に起こる(○肺ガン、✕寝タバコ)
later in our life
  →歳を取ってからのイメージ
  (肺ガンは歳を取ってから発生!)


前から読みながら、論理的にイメージを取り出していきます。
単語や表現にはそれぞれ論理イメージが存在します。それらを「具体的にはどういうことなのか」考えながらつなぎ、文自体の論理イメージを構築していきます。さらに文ひとつひとつの論理イメージを、「具体的にはどういうことなのか」考えながらさらにつなぎ、文章全体の論理イメージを組み上げるわけです。

この、【 取り出し→具体化→つなぎあわせ 】による論理イメージ構築が「論理イメージ読解」のコアです。論理イメージ構築が理解につながるのではなく、論理イメージ構築こそが理解そのものです。この中に「日本語訳」は含まれていないですよね。本当の意味の読解に日本語訳は不要なんですよ。仮に「日本語訳せよ」とテストかなんかで言われたら、構築した論理イメージを日本語で作文するだけ。これは英語読解力ではなく日本語作文力の次元ですね。

昭和の読解: 
英文 → むりやり「日本語訳」→理解(?)

令和の読解: 
英文 → 論理イメージ構築 = 理解
(必要あれば作文)


この程度の複雑な文になると昔ながらの「日本語訳」では手も足も出なくなります。

I am happy to join with you today in what will go down in history as the greatest demonstration for freedom in the history of our nation.

Martin Luther King Jr., 1963

論理イメージ読解ならまったく問題なく読めます。

I am happy
  →幸福・良いことがあるイメージ
to join with you
  →あなた方と一緒にいるイメージ(だから幸福)
today
  →今日この日のイメージ
in what
  →何かの中にいるイメージ(一緒に中にいる)
will go down in history
  →後世に伝わるもののイメージ
as the greatest demonstration
  →最も大きなデモのイメージ
for freedom
  →自由を求めるイメージ(自由を求めるデモ!)
in the history of our nation
  →我が国の歴史上最大のデモ!

論理イメージは文章の外にも存在します。この文章の出典を見るとMartin Luther King Jr.とあります。この名前が1960年代の公民権運動最大の指導者だとわかると、それ自体からも論理イメージが取り出せます。

Martin Luther King Jr.
  →公民権運動・人権の平等・民衆に語りかける指導者のイメージ

この文章の読者にもキング牧師が何が言いたかったのか、頭の中である程度明確なイメージがつくられたのではないでしょうか。

これが論理イメージ読解です。
日本語訳は不要です。


論理イメージ読解ができるようになるためには、いくつかのステップで練習を重ねていくことになります。また、複雑な文から論理イメージを取り出して構築する際には、文法的な知識も重要になってきます。今ここで一気に書くのもあれなので、何回かに分けていろいろと書いていきます。


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