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ギャンブルをどう捉える?

まえがき

 ギャンブル、皆さんは好きですか?嫌いですか?

 パチンコ、競輪、競馬、競艇に最近ではカジノ建設も話題に上がるなど、私たちの身の回りにはそれなりにギャンブルと呼ばれるものがあると思います。

 今回は私がギャンブルについて思っていることを書き留めようと思います。

 まず先にことわっておくと、この記事でギャンブルの良し悪しについて触れるつもりはありません。

 ただ、「こういう捉え方ができるよ」ということを発信することによって、ギャンブルをやってみたい方やギャンブルについて思うところのある方が、ギャンブルとの向き合い方を考える材料になるかも?という期待と、自分自身の頭の中を一度記録するという意味で書いてみたいと思います。

レジャー、それと銀行口座の2万円。

 私自身のギャンブル経験は大学生の頃に友達に誘われて1、2回行った競艇、それと大学卒業前から社会人3年目くらいまでの間で不定期に行ったオンライン馬券の購入くらいしかありませんが、思い返すとそれぞれ目的が違っていました。

 競艇は大学時代に友達が競艇場に行ってみたいということで、折角なら舟券(競艇の予想券)も買ってみようということになり、購入してみました。しかし素人の当てずっぽうが当たることはなく、1、2回で私も友達もあっさりやめてしまいました。もし当たっていたら、続けていたかもしれません(笑)

 この時は購入した舟券代もレジャー施設の入場料程度で、友達と楽しむ遊びの一環という感じでした。

 その後は特にギャンブルらしいギャンブルに触れることはありませんでしたが、大学を卒業して就職する際、2回目のギャンブル経験をしました。

 大学卒業を目の前にして、私の銀行通帳(生活費とは別)にはアルバイト代の残りである2万円が記帳されていました。

 パーっと使ってしまおうと思い、使い道を考えていたのですが、特段欲しいものもなく、ちょうど当時SPSSという統計ソフトの使い方を教えてもらったということもあり、試しに競馬を題材にして統計をやってみて、自分が行った分析の評価を行なうための費用にすることを思いつきました。

 つまり、自分の分析結果に従ってこの2万円で馬券を複数枚購入し、どういう結果になるのかを見てみようという計画です。

 早速エクセルシートに競馬のパラメータ(枠順、競馬場、騎手、重量、直前3レースの成績、コースの周り方向、コースの距離などなどかなりのボリューム)を過去5年分打ち込み、そのシートをベースに大学の統計ソフトが入ったPCで回帰分析という方法を試してみました。その結果導き出されたデータを実際のレースに適用して馬券を購入したのが私の2回目のギャンブル経験でした。

 ちなみに結果はそれなりの成功に終わったのですが、残念ながらデータ更新の手間が大きいため、最初のデータで少し遊んだ後にやめてしまいました。

 その後は株を経験するための費用に回っています(現在進行形)。

  データは偉大です。

・・・

 さて、少し話を戻しましょう。

 “ギャンブル“の捉え方にはいくつかあるように思いますが、自分自身の経験に関して言えば、競艇の経験は娯楽として、競馬の経験は自分が行った分析に対する投資として捉えることができます。

 それでは、もう少し一般化した話題として、ギャンブルの「ハマる」要素、娯楽としてのギャンブル、それと投資としてのギャンブルという側面でもう少し知っていることや考えていることをまとめてみようと思います。

時々発生する“アタリ“。

 実際にやってみた経験を思い返し、その後学んだ人間のあれこれを踏まえて再検討することで、ハマる原理についてある程度考察することができます。

 実際、ギャンブルには人間の脳の特性にヒットする特徴がいくつかあります。

 掻い摘んでいうと、例えば“アタリ“が時々発生するという点です。人間の脳はどのような刺激であれ、一定の刺激が続くと慣れてくるという性質があります。しかし“賭けに成功して賭け金の数倍から数十倍のリターンを得る“という大きな刺激は時々しか発生しないため、慣れることなく、毎回新鮮な(良い・嬉しい・ポジティブな)刺激として脳に突き刺さります。これによって脳内では快楽物質であるドーパミンの分泌が促され、情動記憶(感情と結びついた強い記憶)として残り、そのドーパミン分泌の契機となっている“賭け“というイベントは、潜在的に“自分にとって喜びをもたらす行為“として刷り込まれます。

 他にも、かなり多種のギャンブルの特徴として、“賭けに勝つと即座に現金が手に入る“という側面があります。これによって“アタリ“という概念的な報酬とともに、より分かりやすい“現金“という形での報酬が、しかも即時に上乗せされることが、より強い刺激を脳に与えます。これによって潜在的な(快感の)記憶は、より強固なものになります。

 人間を含めた動物の多くは、自分に利益をもたらすと潜在的に認識している物事を積極的に選択し、自分に不利益をもたらすと潜在的に認識している物事に対しては消極的になるようにできています。これを本能と呼ぶこともありますが、“ある物事を潜在的にどう認識するか?“には、過去の経験(とそれに伴う情動記憶)も大きな影響力を持っています。

 ちなみにギャンブルでは通常“ハズレ“の方が多いため、利益をもたらさないことが多いように思われますが、ここでいう“利益“というのは物理的な報酬よりもむしろ感情的な報酬の方がより優位であり、時々脳に強く突き刺さる“アタリ“の興奮や喜び、あるいは周囲の人から羨ましがられたり共に喜んだりといった、感情面での報酬が、自分に対する“利益“として強く記憶され、潜在的な認識に影響します。

ゼロか倍か。

 一つの捉え方として、ギャンブルを娯楽として捉えた場合、まさにこの“当たったら嬉しい楽しい“という経験のためにお金を払っているという捉え方ができます。

 一部の人を除いて、基本的に賭け事は胴元(ギャンブルの提供者)が得をするように倍率やルールが調整されています。

 横断的に、つまり1回のギャンブルで見ると“勝つ人もいれば負ける人もいる“ので、“勝つ人“側になることに成功する人も当然います。しかし、縦断的に、つまり同じ人が繰り返しギャンブルを行うという視点で見ると、最初に勝ったとしても平均的にはマイナスの方に収束していきます。ギャンブルを商材として扱う場合はこの辺りの見せ方がポイントになりそうです。

 ちなみにギャンブルから抜け出せなくなるパターンとしては、

・“負けを取り返したことがある“という経験による潜在的な希望がある

・“追い込まれた状況からの起死回生“や“その一発逆転に対する周囲の反応“といった状況によって多量に分泌されたドーパミンと、それにより強く刷り込まれた情動記憶(刷り込み)があるなどが考えられます。

その他にも推測として、

・“お金“自体に高い価値があると意義づけている(“金銭“への執着が強い)ケース

・相対的に、技術や能力といった目に見えない価値よりも現物や現金のように目に見える価値に重きを置く傾向

なども背景要因として考えられるかもしれません。

 他にも要素はありそうですが、つまり「ギャンブル中のあまりにも奇跡的な体験は、実はギャンブル依存のリスクでもあるのだ。」と言えるわけですね。

 時々多額のキャッシュバックが発生することによって本質が見えにくくなりがちですが、あくまで他のレジャーと同じように、“費用を支払って“経験を買っているというスタンスを保つことは、ギャンブルを楽しむコツかもしれません。

分析と統計への投資。

 次にちょっとマニアックな?捉え方として、“ギャンブル“の内容に対して行った分析と統計に対する投資という考え方もあるかもしれません。

 例えば数年前に、数億円という金額を動かして競馬を使って資産を増やした例がニュースになりました。ニュースは税金をめぐる裁判を扱ったものでしたが、ここでは税金関係の詳細は割愛します。つまり、独自のロジックで馬券の予想を行い、結果に応じて馬券を購入するシステムを作り、半自動的に馬券購入を行なっていくという方法で資産運用を行なったわけです。

 当然、ロジックが間違っていれば損失にしかならないわけですが、このニュースの例では収益化に成功していた可能性があるわけです(「可能性が」と書いたのは、これをさらに長期的に継続しても利益が出つづけるかどうかは誰にも分からないからです)。

 この例は、自分が生み出したロジックに対して、そこに価値があると信じて投資を行なった事例として捉えることができます。ちなみに、拙くはありますが、私が過去情報から統計処理を行なって馬券購入を行なった例も同じ系統の関わり方です。

 投資はいつも成功するわけではないので損失を生むこともあります。この捉え方でギャンブルを行なう場合は通常の投資と同じように、どの程度で損を切るのか、投資の成否を判定するのかといった基準が求められます。

 この捉え方で楽しむ場合でも、金額的な利益に感情を持っていかれると、徐々に投資から依存関係に変化していく可能性があるため、やはり自分自身のスタンスの確認はギャンブルを楽しむためのコツと言って差し支えないように思います。

考える。

 思うに、ギャンブルにお金を使う場合、自分が“何に対して支払いを行なっているか“を明確にしておくことはそれなりに重要なポイントであるように思います。その際、基本的には“胴元のみが得をするシステムである“ということを前提に考えた方が良さそうです。

 今回は大きく2つの捉え方を記録しましたが、きっともっと色々な捉え方ができるはずです。

 一方で、人間は感情の生き物なので、どんなに理屈がわかっていても、一度不意に大金が手に入ったり、一発逆転の起死回生を経験してしまうと、その行為に積極的に関わるというスタンスの刷り込みが発生します。

 特にストレスを感じている時などは、脳が潜在的に(無意識に)ドーパミンが分泌される行動を積極的に選択し、実施しようとするため、コントロールが効かなくなることが想定されます。

 中毒性が高いことは間違い無いと思いますので、関わる時にはお互い気をつけましょう。(笑)


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