好きな朝の話
朝が好きだ。
朝日が控えめに差し込む少し静かな部屋の中。
ぼやぼやとした意識の中支度をして自分を起こし出かける。
この時期は寒さで動くのが億劫だけど、あの寒い中やかんでお湯を沸かすとじんわりと部屋が暖かくなる。
朝が苦手なうちの人が布団の中で丸まってる姿を見るのが好き。犬みたい。
外に出れば朝日が昇って目の前に広がる世界を照らし、空は透き通って薄い水色を張っている。
冬の空は高くはないけれど、その分透明度が非常に高い。薄いガラスプレートみたい。叩いたらぱりんと割れてしまいそう。
冬は朝日も空も空気も繊細で、尖っていて、そして泡みたいにすぐに消えて無くなってしまうように感じる。
朝は人々が動き出し、活動を起こす。逆に家に帰る支度をする人もいるかもしれない。
どちらにせよ、朝の街はいろんな人が行きかう。人が行きかい街が目を覚ますのだ。
あの朝の「始まる」空気感。毎日のことだけど一日の中ですごく貴重に感じる空気感。
どんなことをしたってまだ一日の時間はある。時間がたくさんある。
朝のまどろんでる瞬間も、目を覚まし動き出す瞬間も一日がたくさんある瞬間もそれが特別な感じがする。
だから私は朝がすきなのだ。
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