「ヒカリの天使」
あくびをした 世界を飲み込んだ
そんなこんなで私の身体は透明になる
鈴の音が通り抜けていく 海の音も山の音も通り抜けていく
見渡す限りの草原に立ち、ソラを指差して、天使は言った
「美しい夜空ですね」
私はあくびをした 美しい夜空を飲み込んだ
透明な身体の中で、星々が泡のように弾けて光る
「どのような気持ちでしょうか」
「別に何も感じない」
ぶっきらぼうな私の返事にも、天使はにっこり笑う
「そのうちきっと、音は聴こえてきますよ」
何千年前の言葉にも色があるのは、あの星たちのおかげなのだろう
「ずっと貴女の中に在るから大丈夫」
遠くからピアノの音が聴こえたきがした ラ・カンパネラ
「ねぇ」
私は天使に呼びかけて、夜空を指差す
「あれ、私なの。ぜんぶ、私なの」
美しい夜空の煌めきは、私の中にずっと在る
「えぇ、そうに違いないと思っていました」
天使は嬉しそうに笑った
私の身体はいつの間にか透明ではなくなっていたので、仕方なく、天使の手を握って歩き出す
またあくびをしたけど、飲み込めたのは天使の笑い声だけだった
ラ・カンパネラ
見渡す限り広がる星の草原 私と天使
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