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京王電鉄のCMが印象的だったのでマーケティングトレースしてみた

おひさしぶりです。約1カ月ぶりの投稿です。新年早々、アウトプットをさぼっていました。反省です。

今回は京王電鉄の広告についてマーケティングトレースします。
京王電鉄は2020年1月16日から若手人気女優、清原果耶さんを起用した新CMを公開しています。これまでの京王電鉄が公開してきたCMとは一風変わったテイストのCMで話題を集めています。京王線新宿駅ではTVCMに合わせてサイネージやポスターなどが掲示されており、インパクトあるプロモーションが展開されています。

なぜ京王線がテイストを変えたCMを打ち出したのか分析します。

そもそも鉄道がCMを打つ意図とは

鉄道会社がCMを打つ意図は3つあると予測できます。
1つは競合路線から乗客を獲得するためです。例えば、JR総武線と京成線の東京-千葉間の移動で近い地域を通る路線の場合、顧客の取り合いになります。運賃やアクセスなど他の要因はあるものの、認知度も乗客獲得に影響があります。

2つ目は新規顧客の獲得です。わかりやすい例でいえば、JRスキースキーのCMが挙げられます。スキー旅行に行く目的を醸成し、普段はその鉄道を利用しない新規顧客を獲得します。

3つ目はブランドイメージの構築です。東京メトロのファインドマイ東京が例で挙げられます。石原さとみさんを起用し、東京の素敵な場所を見つけるコンセプトのCMは東京メトロのイメージアップにつながっています。
※もちろん新規顧客獲得の側面もあります。

京王電鉄_表①

いままでの京王電鉄のCM

これまでの京王線のCMは京王線沿いの風景と電車(車両)がメインビジュアルでした。
京王線の終点駅、高尾山や聖蹟桜ヶ丘の街並みなどを映し出し、人々の日常の中にある京王線をイメージさせるCMでした。


これは競合路線から乗客を獲得したいという意図で作られていると予測できます。

京王線は競合が多い路線です。新宿-高尾間はJR中央線、新宿-多摩センター間は小田急線と競合しています。ゆえに、目的地(場所)と電車と人にフォーカスし、日常生活の中で京王線を思い浮かべてもらえるCMを作っていると考えられます。

新CMは何が特徴的なのか?

新CMはこれまでと異なる点が2つあります。

1つは人気女優を起用している点です。
これまでCMとは打って変わり、若手注目女優の清原果耶さんが雨の府中駅でB.Jトーマスの「雨に濡れても」を弾き語る内容になっています。知名度の高い、有名人を起用したのは初めてです。※公式HPに掲載されている情報をたどる限り。

もう1つは京王の社員(駅員さんや作業員さん)にフォーカスされている点です。
清原さんの弾き語りシーン以外に雨のなか作業を行う、技術員、駅員、車掌の姿が映し出されています。街並みを映し出していた過去のCMと比較すると、切り取る視点が変化しているとわかります。

新CMはこの2つの演出で「逆境に負けず動き続ける力強さと、最後には光が差すという希望」を表現しているそうです。

以上から、京王電鉄はCMの目的が変化していると予測できます。
競合路線を意識したCMから「ブランドイメージの構築」に転換したと考えられます。

CM図解

なぜ京王電鉄はテイストを変えたのか?

では、なぜ京王電鉄はCMのテイストを変えたのでしょうか?何らかの意図・戦略があり、CMを展開しているはずです。

そこで、私は京王電鉄が課題を解決するために、CMのテイストを変えたのでは?と仮説を立てました。

有価証券報告書を見てみました。すると、京王電鉄が直近で向き合う課題がありました。

連続立体交差事業と東京オリンピック・パラリンピックに向けたホームドア設置作業や設備整備です。

京王線_有報

※2018年度(第98期)有価証券報告書より
https://www.keio.co.jp/company/stockholder/financial_report/pdf/2018_financial_statements.pdf

中でも、連続立体交差事業は、2012年10月から計画されていた事業で、一部区間ではすでに着手されています。令和3年以降に連続立体交差事業の完了や周辺施設への大規模投資が予定されています。しかし、周辺住民の理解が必要な事業です。

これらから、今後、京王電鉄は連続立体交差事業やオリンピック・パラリンピックによって、周辺住民や利用者の理解を得なければいけない事業に着手するため、ブランドイメージを構築するCMを展開したのではないかと予測できます。

まとめ

数カ月前まで京王線ユーザーだったため(引っ越したため今は利用していない。)、久しぶりに降り立った新宿駅の雰囲気に良い意味で違和感を覚えました。壁から柱まで、清原さんのポスターで埋め尽くされており、印象に残りました。

TVCMや新聞広告などマス向けのプロモーションは企業の意図が集約されます。企業のTVCMの変遷などをたどると面白い気付きが生まれるように思えます。特にJR SKI SKIのCMは興味深そうです。

今回は以上です。お読みいただきありがとうございました!
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