呪いの臭み 毎週ショートショートnote
「虐めをやめろですって?」
ここで彼女が高笑いでもすれば、私は平常心を失くしただろう。
彼女は、まっすぐに私の目を見た。
「実はね、私、呪われているのよ。間違いないと思っている」
話の展開に私は返事に困った。
彼女は続ける。
「私、何人かの人に憎まれているのよ」
私もその中のひとりだわ。心の中で呟く。
「そうなんだ、自覚はあるのね」
「あなた、私が楽しんで皆を虐めてると思っているでしょ」
しばしの沈黙。
「聞いてくれる?」彼女は萎れた様子。
「この先にある小さな祠に、私は願をかけたの」
「それで?」
「友達がたくさんできますようにって。それなのに私、心にもない事を言ったり、意地悪をするようになってしまった」
吐き出すように彼女は言った。目には涙。
嘘とも思えずに、私は彼女と祠に向かった。
その祠はかなり古いものだった。しかも、ひどい臭いが漂っていた。これではバチがあたる。
私たちは、町の神主さんと一緒に祠を清めた。
彼女はね、今では大親友なのよ。
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たらはかにさんの今週のお題 『呪いの臭み』です。
祠を清めることができたので一件落着。(´▽`) ホッ