さしすせそサイン|毎週ショートショートnote
二人の女が立ち話をしている。
いや、片方の女だけが一方的に喋っているだけのようだ。
『さしすせそ、と言う著書が売れてるそうね。
しらなかったんだけど。
すっかり、有名人になられましたのね。
センセイとお呼びしなくてはいけないわ。
そう言えば
サイン会があるんですって?
いいわね、ご出世ね、おめでとう。
んー、いろんな料理の方法があるのね。
作りたい料理が一杯あるわ』
言いたい事だけ言うと、女はサイン会の日時と会場を確認した。
「会場でお会いしましょうね、楽しみにしてるわ」そう言いながら、彼女は帰って行った。
残された女は笑顔で彼女を見送った。
「さて、サインの練習をしておかなきゃ」
そして、楽しそうにつぶやいた。
「あの方には、ぜひサイン会に来て頂きたいわ。
だって、さしすせそ は、推理小説なんですもの」
•••••••さしすせそ•••••••
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