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誘惑経営

この街に小洒落た医院が建てられた。辺りにも内科医院はいくつかあり、大抵の住民はこの街にホームドクターを持っている。

新参の医院の話など噂にもならない。

だが開院となった途端に、この新しい医院の注目度は上昇したのだ。
ここの医師、看護師、受付は女性だけであるが、その全員がすこぶる付きの美女達であった。

男達、その医院に行きたいが健康であれば行く必要は無い。
病気持ちであっても、長年世話になっているホームドクターを裏切るのも気がひける。

しかし、ここは休診日が月曜日。この辺りの医院は大抵、木曜日。いつもの医院が定休日なので、その医院に診察に行けるではないか。
男達は木曜日に体調が悪くなる。
女達も話のタネに出かけて行く。

人々は、この医院を『誘惑の医院』と呼ぶ。
まずまず、この医院は流行っているようだ。

他の医院の医者達は、この医院を誘惑経営だと言ってやっかんでいるが、彼らも内心は?

ところで、この医院の正式名称は何であったであろうか。



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今回、選んだワードは『誘惑』と『経営』です。 
私が長い間お世話になった医院は、先生が高齢になられ、閉院になってしまう事が続いてます。患者も高齢になっているからこそ、寂しい限りです。