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肝試し美人化 毎週ショートショートnote

「なあ、二人で人間の女に化けないか?」
「なんだよ今更。我々は人間に化けるの苦手だし」  
「運試しさ」
「はあ?」

「ほら、あれさ」
彼が指差す先に露天販売が出ていた。

『寄ってらっしゃい、狸のダンナ方』
「なんだ、狐のテキ屋』
『めでたい新年がやってくる前に、今年最後の運試し、どうだね。人間の美女になれる秘薬がありますぜ。年に一度しか世に出ない代物。狸のダンナにだって絶世の美女に化けられますぞ』

「なあ、美人過ぎるって怖くないか?」
「だよな、適当な美人の方が安心かな。オレは愛嬌のある美人が好きだがな」

『ならば、コレは?化けてみないとどんな美女になるかはわからん。お天道様だけがご存じだ。とんでもない美人になるやもしれぬがな』
狐は意味深に笑う。

狸は面白がって結構な代金を支払い秘薬を買った。

狸は早速、秘薬を使う。
あっという間に、化け物美人に変わる。
『良かったなダンナ方、直ぐそこでお化け屋敷をやってるぜ。肝試し客がお待ちかねだよ』

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今年一年、ありがとうございました。
たらは様にも皆様にも、来る年が良い年でありますように。ついでに私にも。

来年もどうぞよろしく
めい