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運試し擬人化 毎週ショートショートnote

僕は幼い頃、お母さんを亡くした。まだ良くわからない年齢だったが、もう写真でしか会えない事は知っていた。


お父さんはお母さんの写真を見るのが辛いと全部片付けてしまって、僕は母さんの顔忘れそうだった。

僕はお母さんの顔を画用紙にクレパスで描いた。試しに描いた絵は、運良くお母さんに似ていた。

お姉ちゃんに絵を見せた。
「お父さんには見せない方が良いよ」
お姉ちゃんは言った。

時々絵を出して、お母さんに色んな話を聞いてもらった。
僕の描いた絵は本当のお母さん。そう思っていた。

二十年近く過ぎ、僕は結婚した。姉の後輩のナナに一目惚れをしたんだ。

新婚生活も3ヶ月ほど過ぎた時、帰宅すると隠していた母の絵が綺麗な額に入れられ、ナナのお気に入りの飾り棚に置かれていた。花を入れたコップも添えられていた。

「ナナ、これは?」
「お母さんでしょ」

「何で分かったの?」

「私もお母さんになったから」

僕はナナを抱きしめた。
僕の描いた母が幸運を運んでくれたんだ。

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たらはかにさんの企画参加。今年も《毎週ショートショート》に参加させて頂きました。ありがとうございます。