新説なピン札 毎週ショートショートnote
お金が落ちていた。
拾う。
どこの国の紙幣だろう。初めて見る。
手が切れるほどのピン札だ。
知らない文字で表記されている。数字は500のように見える。単位は分からない。
中央に印刷されている肖像は美しい女性。女王だろうか。
裏には森の景色が印刷されているが、なぜだかひどく違和感がある。
持ち帰り、どこの国の紙幣か調べたがわからない。結局、飽きて机の引き出しに入れた。
すっかり忘れた頃、訪問者があった。
日本人には見えないが、流暢に日本語を話す異常に背の高い男。
彼は確かに日本語を話しているのだが、内容はほとんどわからない。
ただ、拾った紙幣の事を言っているように思えた。
おかしなことに巻き込まれそうな予感がしたので、彼に渡すことにした。
紙幣を差し出しながら、彼に尋ねた。
「これはどこの紙幣か」と。
彼はおかしな笑みを浮かべた。
「これは招待状です。あなたは500番目の幸運な方だ」
お札を改めて見た。
表の女性は閻魔に変わり、裏は地獄絵だった。
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たらはかにさんの今週の裏お題『新説なピン札』です。
最近、お金を直接触ることは少なくなりました。チャージの時くらいでしょうか。昔はピン札に出会うと、ラッキーだと思ったものです。