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小説、エッセイ、俳句etc
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2024年4月の記事一覧

小さなオルゴール 青ブラ文学部

おばあさんが小さなオルゴールを開けたのは久しぶりでした。 オルゴールは鳴りません。もうずっと前からです。 修理に出すのは嫌でした。 このオルゴールを作ってくれたのは、亡くなったおじいさんでしたから。 修理に出すと、おじいさんのオルゴールではなくなってしまう気がするのです。 オルゴールは宝石箱でもありました。 確かにおばあさんの宝物が入れてありました。それは宝石なんかではありません。 おじいさんとおばあさんの結婚式の時の写真。少しセピア色に変色していましたが、二人の愛と、二

お遊びしてみました

三羽 烏さんにお薦め頂いたので早速やってみました。 名前を入力するだけでAI君が、あなたの想像画を描いてくれますよ。 どちらも美形ですよね。 美人に描いてもらうと、とても嬉しい。女ですもの😄 AI 君、ありがとう。 三羽 烏さん、楽しませていただきました。 ありがとうございま~す🎵 #お遊び企画 #AI画像生成 #三羽烏さん

祈りの雨 青ブラ文学部

雨が降ると悲しい。 子供の頃、そう思っていた。空が泣いていると思っていたのだと思う。 だけど今は、雨の日は落ち着く。雨音を聞きながら眠るのが何より落ち着く。雨音は眠りの精だ。 いつの頃からか、雨音に紛れて祈りの声が聞こえてくることがある。 「雨よ、雨よ、叶えておくれ。雨よ雨よ、お願いだから」 いつも同じ声。 怖くは無かったが、気になる。気になるというより……。 どこかで確かに聞いたことのある声。 誰だったろうか。 いや、本当は誰の声か分かっている。認めたくないだけだ。 あ

セピア色の桜 青ブラ文学部

セピア色の桜を見たことがあるかと問われれば、Yesです。 ただし、それは写真の桜。 1950年代。 私がまだ幼い頃、父の職場の仲間の間で写真を撮る事が流行った事があり、こぞってカメラを購入したとか。 カメラといっても、現在の一眼レフでは無い。二眼レフだ。ミノルタ製だったと思う。私が二十歳ごろまでは確かに家にあったはず。 私は長子だったので、妹達より多くの写真を撮ってもらった。 父の会社の施設の隅に暗室があり、現像も焼き増しも父達が自分でやっていたそうだ。 色付けも自分た

廃屋の門 青ブラ文学部 (762文字)  

小高い丘に立派な門構えの屋敷があるが、そこはすでに廃屋と化していた。 時折、夜に明かりが漏れることがあると言う者もあるが定かではない。昼間であっても夜であってもその家に出入りする人を誰も目撃した者はいないはずなのだから。 昔からこの地に住んでいる年配者も、この屋敷は昔から廃屋だったと言うばかり。役所に聞いても要領を得ない。 子供たちはお化け屋敷だと怖がっているが、門の中の庭は手入れが行き届いているようにも見える。庭師が見かねて手入れしているのだろうか。 それにしてもなぜこ