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ショートストーリー

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#夢

途中下車 ショートストーリー

最近、同じ夢を繰り返し見る。 夢は、いつも男性のナレーションから始まる。私の心情と状況を事細かに語る。でもそれは、ほとんど的外れで私は苛ついている。訴えても、いつだって彼からの返事は無い。私は彼を無視することに決めた。 気がつくと私はSLの木の座席に座っている。夜なので窓には自分のような女が映っているが、私ではない気もする。 やがて汽車は停車し、新しい乗客が数名現れた。ほとんど空き座席なのに、わざわざ私の隣に座る一匹の白い猫。 汽車は再び動き出す。 それが合図だったかの

ゆめ(716文字)

私は、今よりずっと若い。まだ女子大生なのだから当然だ。 大学の校内でトイレを探した。なかなか見つからない。 その辺にいる人に尋ねるが、誰も返事をしてくれず、私が見えないかのように無視をされる。 やっとトイレにたどり着くが、様子がおかしい。 並んだトイレのドアが、すべてゲーム機なのだ。 ドアのデザインではなく、正真正銘のゲーム機。ドアの前に並んでいる先頭の女の子はみんなゲームに夢中だ。 私は近くにいた女の子に、ここはトイレではないのかと尋ねたが、やはり返事はない。 トイレに

眠れない夜の夢(ショートストーリー)

眠れない。 こんな時はホットミルクを飲むんだって。 外国のお話に書いてあったのを思い出した。 本当かな。 明日は遠足だから、しっかり眠るようにって、絵里先生が言っていた。 だけど眠りたいけど眠れないんだ。ワクワクするからかな。 気がついたら、ボクはカニになっていた。海の中でも息ができる。やったー! あ、キレイなお姉さんが……。 あれ?お姉さん、足が無い。お魚の尾びれ?えっ! もしかして、お姉さんは人魚? 「お姉さん、ボクね、ハルトって言うんだけど、なんでかカニになっち

夢(140字小説)

夢? そんなもの無い。 毎日働けるだけでありがたい。 夜見る夢? そんなもの見ない。 寝床に入り目を閉じる。 するともう朝だ。 目が覚めた事に感謝。 金も最低限生きていけるだけあれば良い。 女は色々面倒だし。 真面目だけが取り柄のオレ。 「頼んだ夢と違うじゃないか! おい、間違えてるぞ、夢屋!金返せ!」 最近、書きたいことが思いつかない。 閃きだけで書いて来たからだと思う。 140字なら、思いつき的になんとか書ける気がして書き始めた。 今は何とか書けそうな短いものを書