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ショートストーリー

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短い創作小説を置いています。
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#お話し

灯り(277文字のお話)

ねぇ、おじいちゃん ん? お星さまって、見えるけど、とっても遠いところにあるって、ほんとう? 本当だよ おばあちゃんが亡くなった時、おじいちゃんは、おばあちゃんが遠いところに行ったって言ったでしょ そうだよ、お星さまより遠いところだよ そうか、だから見えないんだね。淋しいね でもね、おばあちゃんからはコチラが見えるんだよ うん、ママも言ってたよ なんて? おばあちゃんは、いつも見守ってくれてるよって そうとも、お星さまもな 空を見上げている二人に、お星

星の船(お話し)

とても遠くにある星なので、地球に住んでいる人には見えないかもしれません。 生まれたばかりの小さな星。 その小さな星の名前は キラ と星神さまが名づけてくださいました。 キラの隣りに ピカ という少しお兄さんの星がありました。 ピカは、ひとりぼっちて寂しく思っていたので、嬉しくてなりません。 早速、小さな星に話しかけます。 「ぼくはピカ、君は?」 「キラ」 それから2人は仲良く、いろんな話をしました。まあ、少しお兄さんのピカがキラの質問に答えるという事が多かったですけど

草原の少女(後編)

さて、場所は変わる。 ネリン達の小屋の中。お祖父さんは、子供達にベリーのシロップがタップリ入ったお茶を出してくれた。 アンは水をもらった。 お祖父さんは自分の為にコーヒーを入れ始める。大人の香りが子供達の鼻を擽る。 お祖父さんは、コーヒーを一口すすると少女に話しかける。 「君は何か、頼みに来たんだね?」 「はい」 「その為にアンを案内人にしたんだね?」  「はい」 「アンとはずっと前から知り合いだったね?」  「はい、アンちゃんが小さい頃から仲良くしていました。」 「そう

草原の少女 (前編)

結構昔の話。「Rの国」そう呼ばれる小さな国があるのを知っていますか? その国にネリンと言う名の12歳の少年が住んでいました。彼はお祖父さんと二人で、慎ましく穏やかに暮らしています。 ネリンの両親はネリンが幼い頃、不慮の事故で亡くなり、ネリンを慈しみ育ててくれたお祖母さんも昨年亡くなりました。 お祖父さんと二人だけで暮らすのは寂しい事ではありましたが、お互いを心の支えとして仲良く暮らしているのです。また、自然の中での小さな楽しみや出来事は二人を強く結びつけているのです。