【ピリカ文庫】 ラブレター
あなたは覚えているのだろうか。
私達の出会い。私達の結婚。私達の笑顔。そして私達の別れ。
走馬燈のように、私の周りを全ての出来事が光に姿を変えて回り始めている。
それは何の意味も持たないが、ただ私は見ている。
見ていたい。
あなたの顔を思い出したいのに、思い出せない。あれ程あなたを見つめていたのに。
あなたの声はどこかにいってしまって、私に向けられる事が無くなった時も、あなたの言葉をじっと待っていた。
でも、こんな時にあなたを、こんなふうに思い出すのは避けるべきだ。あなた