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思い出して

私は音楽大学でピアノを専攻している。

今までたくさんの曲を弾いてきたけれど、その中でも特に思い入れの深い曲について今日は書こうと思う。


ショパン/バラード第1番 Op.23

平昌五輪などで羽生結弦選手がSPで使っていたり、アニメ・漫画「四月は君の嘘」で主人公が演奏していたりと、クラシックに馴染みがない方でも一度は耳にしたことのあるのではないだろうか。

私が高2のとき、前期試験(音楽科だったので実技試験があった)やコンクール、発表会で演奏した曲。
昔からずっと弾いてみたかった曲で、いろいろな演奏会や音源で聴きまくって、「試験でどうしても弾きたい!」と先生に頼んだ記憶がある。
当時の私の先生は、褒めてくださることは少なかったけれど、バラードは1回目のレッスンから「なかなかいいね」と言ってもらった。
大好きな曲だし、自分の弾きたいイメージもはっきりと持ててたくさん練習した。あの時は本当にいい努力ができていたと思う。
どの本番でも自分の満足のいく演奏ができた。

周りの反応もとてもよくて。
聴いてくれていた友達もたくさん褒めてくれた。その中でも1番嬉しかったのは「なつちゃんの解釈が一番好きだった」と言ってもらったこと。
たくさんのピアニストが演奏している中でそんなふうに言ってくれて、びっくりしたしちょっぴり自信にもなった。

それから審査してくださってた先生(自分の担当の先生とは別の方)からとても詩的で私にはもったいないくらいの講評もいただいた。

「(略)音楽は、とても不思議ですね。同じ曲を弾いてもまるきり『愛』を感じない演奏になったり、一方で、1つの音に『愛』が確実に見えて、心の中に深く訴えかけてくる演奏と、2通りあります。貴女の演奏は心から生まれていたので素晴らしいです。バラードは難しいのですがとてもよくまとめられていて感動しました。」

私の演奏が誰かの心に届いたということが、涙が出そうになるくらい嬉しかった…。


あれから3年。

最近、演奏会に出演して、そのときに同じピアノ教室に通っている中学生の子からプレゼントをいただいて、メッセージカードにこんなことを書いてもらった。
「なつちゃんのバラード1番が素敵でした」
3年前の演奏なのにまだ覚えてくれているんだ…!と感動したと同時に、上に書いたようなことがぶわっと思い出された。

前の記事で「自分の表現の仕方がわからない」と書いたけど、私できてるときもあったじゃんって。どうして今まで忘れてたんだろう。
そういえばあのときは、いろんな練習方法(専門的なのでここでは詳しくは書かないことにする)をしてたし、それがすごく効果もあったのに、なんであれきりやってないんだろう。

私は自分を表現できる方法を知っているはずだ。

それを思い出させてくれたピアノ教室の友達、そして昔の私の演奏を聴いて褒めてくださったみんなに感謝の気持ちでいっぱい。頭のモヤモヤがすっきり晴れた気分。
また前を向いて頑張れそうです。

大学2年生になったし、もうすぐ20歳になるし、今年はもっと演奏の面でも人間的にも大きく飛躍できる年にしたい。

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