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「すべての瞬間が君だった」

「すべての瞬間が君だった」ハ・テワン

これは、韓国のSNS、エンタメ業界が熱狂した
胸がしめつけられるほど甘く、もどかしい運命のお話――。

あのK-POPアイドルも愛読と噂される、
不器用ながらも温かい恋と人生と「君と僕」を
みずみずしく綴った、心に染みわたるエッセイ――。

「こんなにめちゃくちゃで勝手な世の中を
しょっちゅう悲しみ
ときどき笑いながら
耐え抜いているあなたは
もしかしたら本当にすごい人なのかもしれない」

韓国エッセイが最近好きでよく読んでいる。中でもこの本は本当に素敵。
恋愛だけじゃない愛情のきらめきや切なさが言葉になったよう。美しい詩を読んでいる気分になる。

この本は、著者のかつての恋人への想いに溢れている。恋愛の楽しさや幸せ、苦しさがぎゅっと詰まっている。こんなふうに真っ直ぐに誰かのことを好きになれるなんて羨ましいなと思ってしまった。
私の周りの恋している友達みんなにおすすめしたい一冊。そして自分もいつか恋愛したら、読み返したい。


ただ手をつないで
ある春の日の芝生を散歩していただけなのに
歩くたびに温かい音楽が流れる。

ぴょんぴょん

愛はなんてことない野草すらも
きれいな音を奏でる楽器にしてしまうんだ。

p35

きっと、その人といると、なんでもない日常も鮮やかに色づいていくのが恋や愛というものなのかもしれない。たわいもない会話も楽しくて、日常も特別になる。それは、とても素敵なことだと思う。
最後の2行がお気に入り。


今、目の前に
自分の実力では手に追えそうにない
壁が立ちはだかっているからといって
歩んできた道をまた戻ろうとはしないでください。

そういうときは過去の自分と
今の自分を比べてみてください。
もしかしたら、あのときの自分には
絶対にできないと思っていたことが
今は当たり前のようにできるようになっていないか。
あのときはまったく知らなかったことが
今では完全に自分の知識になっていないかと。

p56

この言葉を読んで、はっとした。
ちょうど、不安や悩みで心がいっぱいだったから。

不安で押しつぶされそうで、怖くて足がすくみそうになる日もある。自分に出来るわけないって落ち込みそうになるときもある。でも思い返してみれば、過去にもそんな気持ちになるときがあったけれど、全部乗り越えてきたじゃん。何にも知らなかった去年の今頃と比べると、確実に成長できている。

だから、大丈夫。
壁から逃げないで、ちゃんと立ち向かおう。


きみが目の前にいないその瞬間すらも
きみのことでいっぱいで
あらゆることにきみを重ねて
意味をもたせているんだよね。
それだけきみのことが好きだってこと。

p102

ご飯を食べに行ってメニューを見て、「あの人ならこれを選ぶかな」と思うこと。
本屋に行って、「あの人はこんな本が好きそうだな」と思うこと。
綺麗な景色を見て、「あの人と見たらもっと綺麗なんだろうな」と思うこと。

想像にすぎないけれど、こんな感じかな。

その人がそばにいなくても、その存在を感じられること。それが愛というものだろうか。

恋すると、どうしても自分とずっと一緒にいてほしいなどと思ってしまいそうだけれど、こんなふうに想えたらいいのかもしれない。

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