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一期一会の街歩き

うなだれるような暑さになる少し前に、ぽっかりと一人の時間ができたので街歩きをした。今回は国会議事堂〜新宿駅まで。ざっと4キロくらいの距離だ。少し陽が落ち着いてきた15時くらいから歩き始めた。

国会議事堂の周りは警察車両やその関係者がいるくらいで、歩いている人はまばらだった。確かに娯楽施設や飲食店などが見当たらない。国会に用事がなければ行く必要のない場所だから人気が少ないのは当たり前のことかもしれない。
ここに来たのは多分小学生の時の社会科見学以来だ。当時は全く楽しくなかったけど今見学したら面白いかもしれないと検索してみた。平日なら見学ができるようだった。しかしその日は休日だったので諦めた。いつか息子達と一緒に行っても面白いかもしれないとスマホのいつか行きたいところリストにメモをした。

しばらく歩くと少しずつ商業施設が増え、それに比例して人気も多くなってきた。やはり街歩きはこうでなくちゃと少し安心した。
少し汗ばんできていたので近場に銭湯がないか検索をした。運良く四谷近辺にいくつか銭湯があった。今いる場所から一番近いところに決めた。「塩湯」という昔ながらの銭湯だった。
現地に着くと店先に張り紙が貼ってあった。大正時代から続いていたこの銭湯があと数日で閉店するとのことだった。偶然とはいえ、この地域の人たちの憩いの場がなくなる場面に遭遇して感慨深い気持ちになった。

これも何かの引き合わせかと思いながら暖簾をくぐって下駄箱に靴を入れた。何も考えず引き抜いたのは65番の札だった。札を見ると下の右端の部分が破損していた。ちゃんと鍵がかかっているのか不安になって確かめたがしっかり鍵の役割を果たしていた。

銭湯の中は清潔感のある昔ながらの造りで、番台は脱衣所と繋がっているタイプだった。サウナに入りたかったので利用したい旨を伝えるとサウナ室で下に敷くようのタオルを渡してくれた。これを持っている人がサウナに入れるという仕様らしい。まだ早い時間帯だったからかサウナを利用している人は誰もいなかった。何回かサウナと水風呂を往復してしっかり汗をかいて体の隅々まで洗う。最後にもう二度とこの景色は見れないのかと思いながら軽めに湯船に浸かった。

感謝の気持ちを込めて番台のお婆さんに
「良いお湯でした。ありがとうございました」と伝えた。
「ありがとうございました」と使い込まれた元気な返答があった。仕方がないことだがまたどうぞ的な言葉がないのが少し淋しかった。

外は日が落ち始めていた。風が2段階くらい涼しくなっていて、銭湯上がりの身体を優しく撫でてくれるようだった。このままどこまでも歩いていけるような最高に気持ちの良い時間だった。

ゆっくりと新宿に向けて歩みを進めていく。駅に着く前にカフェに入りたいと思っていた。銭湯は検索したが、カフェはできるだけ歩きながら見つけたところにしたいと思いながら歩いていた。チェーン店ではない所だと尚良い。そんな思いを見事に満たしてくれそうな佇まいのお店を見つけた。もう外観からすでに良い雰囲気が漂っていた。

店内も期待を裏切らない眺めだった。アイスカフェラテを頼んでしばらく読書時間。今日の街歩きの流れもかなり良い感じだ。

カフェを後にして今日の終点の新宿へ。近づくにつれてどんどん人が多くなってきた。外国人の観光客の割合が多い。

ほぼゴールの手前にあった新宿バルト9を見上げると、僕が物心ついた頃からずっと憧れている大好きな人物が大きく映っていた。僕と同じく彼の大ファンだった親父と一緒に見に行きたかったなと思いながらその場を後にした。

今回の束の間の街歩きはこれにて終了。半日でもかなり充実感を得ることができた。また時間を見つけてぶらぶらしよう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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