拒絶その一 結婚拒否

鬱状態になった私に、症状悪化の出来事が二つ起こった。半同棲状態だった男の結婚拒絶と、実家が私が帰ることを拒絶したのである。

半同棲状態の男とは、某声優学院時代に知り合った男で、芝居の話をしたときに非常に話があったのである。自分が好む芝居、やりたい芝居などが合ったのである。ぶっちゃけていえば男女の関係になったのだが、いかんせんお互い金がない。声優の録音スタジオは東京都内にあることが多いから東京での仕事がどうしても多くなる、だからいずれ東京に出ることになる、と聞いていたのと、デート代諸々考えて、私が男の実家の側の安アパートを借りて、家賃だけ折半してもらうというのを私の提案で行ったのである。

そこには、男の実家は男の個人部屋がなくて····というような事情もあった。同情したのである。男の実家の側だったから、例えば食費だとか、そういった者を、多少援助期待できるかな、という目論見もあった。
最初は六畳一間とユニットバス、キッチンという部屋を借りたが、この男がプロレス大好きで、プロレス雑誌と、プロレス中継を録画したビデオテープが積まれるようになっていった。加えて漫画もよく買っていたので、あっと言う間に畳ニ畳分くらいが、占領されていった。そしてよく崩れた。掃除もしにくいのでホコリも積もるようになった。イライラしだした私は6年後に4畳半、6畳、トイレ、風呂別、台所三畳と言う部屋をみつけて引っ越した。

広くはなったが、いうなれば木造建築30年以上は建っている、ボットントイレの、冬は激寒、夏は激暑のボロアパートだ。湿気も酷かったし。でも部屋が別になり、私のイライラはかなり解消された。

35歳までに声優として箸にも棒にもかからなかったらきっぱり辞める、私はそう決めていた。そして別に書いた通り、芽が出なくて辞める事にしたが、次の方向が全く見いだせない。様子がおかしい私を、当時のバイト先は薄々感じとっていたと思うが、特に何も言わなかった。でも迷惑かかると思い、辞めますと言った時はすんなり辞めさせてくれた。内心辞めて欲しがってたと思う。

···次も結局経験ある飲食にしたが、幸いな事にホールではなくて裏方(調理補助)になった。

自己肯定感が落ちている時の転職は良くない、というが、後々になってわかった。結構なブラック職場である。ただパートなのでさして被害は被ってないが、正社員には絶対なりたくない職場ではある。それは又別の話として、ここに面接に来るに辺り一つだけ詐称をした。既婚にしたのである。

30代後半、資格なし。これで独身だったら雇ってくれないかもと思ってしまったのである。

この頃は色々考えて掛け持ちのバイトしていた。だから収入がゼロになることはなかったが、生活するにはギリギリか足りないくらいであった。だから高収入求めて色々バイト手を出した。その中にテレフォンのバイトがあった。

面接とか一切なし。登録するだけ。そして電話で話をするだけではあるが、要は稼ぐためにはテレフォンセックスをするというものだった。

ただ時間帯が悪い。夜、特にその稼げるテレフォンセックス目的の相手に繋がる時間帯、金曜日の夜中だったり、土曜日の夜だったりは、半同棲状態の男が家にいる日だった。(常に決まった曜日に泊まりに来てた)

結局は全く稼げないまま、そのバイトはしなくなった。

と同時に、私がこんな思いして稼ごうとしているのに入れるお金はを増やそうとも、はたまた私がこんな状態なのを気づいてもいないような男にふと疑問が湧いた。

······いつ、どのタイミングでこの話を持ち出したかは正直覚えていない。ただ今書いた流れのどこかで、私は、男に「結婚してほしい」と持ち出した。勿論子供も望めないし、結婚式だとかも出来る経済力さえない。でもここまできたのだから諦めて、某大型和菓子屋支店のアルバイトで長く勤めていたので、正社員の話が上がったというのを以前に聞いていた事もあったので、それで正社員になって、、声優の夢を諦めて二人で違う夢を見ようと言った。一生添い遂げるし、頑張るから、みたいな事も言った。

······考えさせてほしい、そう言った数日後、男は"NO"と言った。ただこの時点ではまだ破局とまではいかなかった。

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