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2023/1/18 『火星』

ほらごらん、あれが木星の記憶
ピタゴラスの思い出とひじきのご飯
海峡をはさんで軍隊が叫んでいる
ホロホロ鳥のスープはあつあつで
たまごはうすく膜となり
ほらごらん、科学の実験室の時のように
教室はうす暗く、もやが立つ
ひたすら言葉で愛を伝えることを大陸は
氷点下のそぞろ火炎の耐火煉瓦の
ツンドラの森林の何も音がない
華奢なフリルの煩悩のような
それからみぞれが降って来る
さいわいはひとそれぞれですから
みずからはひとの思いを語らない
さばさばと寡黙のヒバリが高く鳴く
双子葉植物の雨模様の
金星の和菓子のように田舎の停車場を
繰り出して行く、その時も
筑紫平野の煩悩はまた別の様態であり
金属的な光で心は彷徨い出るでしょう
海峡の軍隊は進軍しなさいと
理解するべき平均台の休憩
そしてそれぞれの確信で海峡をはさんで鳴く
この小さな昆虫の羽から
わたしはモーリスを感じている
さわやかな信頼のコンクリートの音楽を
もっとそばから聞き耳を立て
本当に見てごらん、海の肺が呼吸する
逃亡したカレイの砂は舞い上がり
君たちの方へと眺望は剥離する
あだしの原の、調伏する忖度は
ケシの実のはすかいに切る
千葉県の先はもう海峡である
端然と構えよ
あれらは火星のドーム
とくとくと
工事は進む。