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2023/4/1 『鹿たちの園』

あるいはその鹿たちは
もはや目覚めない知能の森から
永遠に明るい水を湛えた理性の湖へと
歩みゆくのかも知れない
そして地平線から沸き立つ輝きの雲は
真理の梢をわずかなしなりで
弾かれて国土の至るところで
ベルの響きとする、ガランガランと響きつつ
それは鹿たちの耳にする世界の底からの論理である
下草のやわらかなぬくもりを感ずるものは
ゆるやかな丘をくだりつつ
新鮮な感覚のくすぐられて
自らの足もとの水滴と花の蜜から顔をあげる
ややもすれば雲は太陽の光を遮り
この丘陵地帯のひややかな風となる
それでも鹿たちは香る森林の求めるもの
鮮やかな新緑の香り立つもの
多くの真実の草がいろどりを保ちつつ
世界は光の園である、いつまでも新鮮な
しなやかな、からだぜんたいは光をあびている
そして首をあげ遠く真理の陽炎となり
地平線の向こうにうっすらと
そして雲は散乱するまごうことなき
アルファである
鹿たちの歩みゆく
丘を過ぎるのは
光と雲のかげ
ただそれだけ。