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2022/11/21 『アボガドロ定数』

詩人は「新しい詩」を書かねばならない
鳥のはばたくように、鋼鉄の鳥のように黒く
草の葉の亡びる時にも、飾り尾の広げるように
完全に枇杷の実はトリコロールの
オクタビアヌスの胸当てをかしいで
逆臣のピアスの攻撃は、かしいだ皿のソース
をこぼれるチグリスの雄大な水量を
牧歌的オートマチズム、僕はオートモービルを
けぶった河のこちら側から、ボートに乗せられ
半身は水没の都市のカフェテラス
から身悶えする江東区の再開発的空間、静まり返ったシーン
からも寸劇は披露される墓石の上で
今日は寸劇の日である、やかん的蒸気を発して
僕等は町医者のやさしげな名刺を投げ捨てて
品川区の製紙組合から脱走した
やけに手の込んだラーメンを愛している
のれんをはずして、手ぬぐいで首をしめようとする
それはいけません、犯行現場の小さな破片
を拾い上げるまるで子供の小さな指で
陽炎のように精神の深みに潜り込み
新感覚の味わいを手にする我々のもとへ
難波走りで追い越して行く、ランナーたちは
叫びたいのだが、叫べない、ラーメンの鉢は溶けて行く
旦那、こっちへおいでくださいな、この中へ
と案内された先には、カンガルーが待っている
そして彼は実に科学的思考でもって
アボガドロ定数の説明をするのだ
ホワイトボードに、樫の木のごとき
すぐれた空想科学
さあ詩人たちよ、新しい詩を作れ
そうでなければ
昼飯は抜きだ。