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現代詩の世界2023/1

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冬の中の新しい詩たち。
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#現代詩

2023/12/19 『フォト・太郎さん』

湯舟につかった太郎さんの写真を見る 湯舟は規定の構造体である あんまり好きではないのである…

2023/11/24 『 蠅 』

ひっきりなしに爆撃される トマトの菜園、君の部屋 飛び散る家具や、シロツメグサ 緑黄色野菜…

『 神の優雅なる一指 』

ベアトリーチェ、固唾をのみ見つめる中 針鼠の子はガザの内部へと 侵入するのであった はすか…

『 マラソンランナー 』

ウルウルと、陽だまりの〈角〉が ヒルスベニア産の格子構造を持つ 身を天空の〈サンザシ〉に置…

2023/9/21『  スイフト 』

モーリヤックの、めざましい僻地の開発する 住まいと言うものは 青い屋根の秋空の透明の 神経…

2023/8/10  『 水 』

肥沃な土地をおびただしい水が灌漑していく それはマリアージュ、君だけの秘密にしておいて ず…

2023/7/27  『 ソーダ水 』

突撃する子葉体 これらの性格は無駄なしぐさだと了解される エスペラント語の本質的理解を欠いたまま 古代の出窓に正月が来る 触感的にふるさとがあら塩で遠ざかる 起請文に血判を押して 極彩色のアルカディアを想像させる遠見やぐら すべての蛇は死者の耳から登場する 廃寺跡から防水性の彼岸花が開く時 彼等のともしび、すなわち彼等の懐具合い ジープが進行する泥と血の混じるこの道を ハインリッヒはすくなくとも一度は 通ったはずである、東から南へとまっすぐに この後は、ほがらかに後始末するの

2023/7/10  『 アイリス 』

それは飛行する物体として多くの人が見たものである しかしそれを正しく認識することはできな…

2023/7/3  『 球根 』

それらはそもそも不可思議の唇で包囲されている 引くべき時には引けずトンカラの法則で 虫眼鏡…

現代詩の世界2023/6/22 『 カトレア 』

カトレア、またシンガポールの落日 区別された体操選手、混濁された意識の落日 消化器官のアル…

2023/6/8  『 住吉 』

その音楽はしゃべっている たこ焼き屋の店主のように くるくるとかきまわして 絶望した世界の…

2023/5/31  『 ベルル 』

ベルルはそれだけで満点である 几帳面なノートの1ページ ノルウェーの港の寒い朝に 北海へと…

2023/5/20 『 ラウラ 』

濃い色でもなく薄い色でもなく ほとりから流されて来たラウラ 君はもう淡い悲しみというべき世…

2023/5/6  『 月食 』

急峻な地形から地滑りが始まる 深層崩壊と言う人間的現象が〈やまおく〉で起こる トロピカルなジョースが求めるもの カンボジアの仏教寺院では熱帯の花が毎日盛り上がり 旅行者のカバンは花に充たされている 袈裟姿の僧の列が町の中につづくいつまでも 急激な人口増加と言う過去の幻がヘリポートに来る 海中時計というものが潜水士の心臓にひそめられ 太陽に潜るカラスの足が三本見えるでしょう そしてカラバッジョの蝋燭の光が太陽を焼くとき カスタマイズされた私と言う乗り物 人工の月が夜空に輝く都市