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2023/5/6  『 月食 』

急峻な地形から地滑りが始まる
深層崩壊と言う人間的現象が〈やまおく〉で起こる
トロピカルなジョースが求めるもの
カンボジアの仏教寺院では熱帯の花が毎日盛り上がり
旅行者のカバンは花に充たされている
袈裟姿の僧の列が町の中につづくいつまでも
急激な人口増加と言う過去の幻がヘリポートに来る
海中時計というものが潜水士の心臓にひそめられ
太陽に潜るカラスの足が三本見えるでしょう
そしてカラバッジョの蝋燭の光が太陽を焼くとき
カスタマイズされた私と言う乗り物
人工の月が夜空に輝く都市の発展スタイルをみちびく
堅いパンをかじる、片足の猫
その運命的なココナッツ式デベロッパーは
林屋のカレーのように開かれた人体色を発症する
テロリストたちは公園のスコップを洗い場へと
常識の範囲できれいにする
もちろんそれは慈善的行為であり見返りを求めるものでは無い
火薬を詰めて紙飛行機を飛ばすとしても
それがなんらかの政治的主張を帯びているとは言えない
それから坂道を駆け降りる
一寸先は不明である彼等の日常を
望遠レンズで確認しよう、日々の行動のすみずみまでを
朝の起床の瞬間から出かけるまで
駅への道で確認すべき事実のことがら、それからの
夏草の繁茂、繁茂
ルコーソウの赤は寝台の脚にからまりつつ
ビルの窓にも絡まりつつ、そこから先へと伸びるだろう
階段の上に坐り街を見るなら
たしかに太陽はビルの間に上昇する
そうした現実の足もとには月が下降する
月食の夜の人々の眼が光る
トウテクウ、トウテクウ、トウテクウ
響きと色彩と帝国ホテル
そのままの人間都市である。