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好きなところへ行き、好きに生きな

映画「もののけ姫」の中で、石火矢で撃たれたアシタカの生死をシシ神に委ねるため、サンがシシ神の森にアシタカとヤックル(オオカモシカ)を連れてくるシーンがあります。

森の池の中で、サンは
 好きなところへ行き、好きに生きな
と言ってヤックルの轡を外してその場を離れます。

主人の命が尽きても尽きなくてもお前は自由だ
どこへでも行っていい

結局ヤックルは、轡を外されてもアシタカの側を離れませんでした。
アシタカのいるところが好きなところで、一緒にいることが好きな生き方なのでしょう。
他の生き方を知らないから、と言ってしまえばそうなんだけれど。

自分の子どもにどんな子になって欲しいですか?
という質問を目にすると、サンのこのセリフが頭に浮かぶのです。



自分の両親より上の世代の人と話す機会がたまにあるのですが、私の周りは保守的な人が多いようです。
さすがに「女の子に学はいらない」みたいな暴言レベルの発言はありませんが、「出来れば将来結婚しても親と同じ市内に住んで欲しい」くらいの発言は当たり前に聞きます。
「(成人した)子どもが近くに住んでるとやっぱり安心よね」とも。

高校生の頃、「親から大学は県内(or九州内)しか受けちゃダメって言われたー」って子は珍しくありませんでした。
関東の大学なんて論外。
九州内でも本音では反対されてる。
なんて話はよく耳にしました。金銭的な理由ではなく、「女の子は心配だから」という理由です。

九州の女の子は家を出ても福岡まで。
そして福岡の男の子は関東関西に出て行くので、福岡の人口比率は女性の方が上回っているそうです。
福岡市内に勤めている友人は
独身世代は圧倒的に女子が余ってるからしょうもない男にも大体彼女がいる
という身も蓋もないことを言っていました。
辛辣ぅ!
まぁ福岡はとても住みやすいので、関西関東までわざわざ出る理由がないのも原因の一つらしいです。


以前、職場の人(40代男性)に
 娘が留学したいなんて言ったら絶対反対する
と言われました。びっくりして理由を聞くと
 心配だから
 外国の治安なんて全く信用できない

とのこと。これに尽きるそうです。まぁ確かに。
ちなみに海外旅行は別にいいそうです。


我が子に危ないことをさせたくない、危ないところに行かせたくないという気持ちは、子どもを、しかも娘を産んだらその気持ちも分かるのかなぁなんて思っていました。

進学にしろ就職にしろ、すぐに実家に帰ってこれるところにいてほしい、何かあったときに親として子どもを助けられる距離にいてほしい、と思うのが親のサガなのかな。
で、産んでみて思いました。

全くその気持ちがわからん。

海外留学や移住を反対する気持ちも分からなければ、進学や就職先の地域を限定する意味も分からない。

確かに治安事情や女性の一人暮らしのリスクはあるっちゃある。否定はしない。
ただ、そのリスクの為に選択肢を捨てるのはどうなの?
本人がそのリスクを恐れて諦めるならまだしも、親が諦めさせるのはどうなの?
行ってみたい場所で、やってみたい、やりたいことをするってものすごく嬉しくて楽しくて幸せなことじゃないの?
そもそも成人した子どもに親ができることって
帰ってきたらおかえりーつって、お腹空いてるー?お風呂入るー?今日泊まるー?つって、ご飯とお風呂と布団を用意するくらいじゃない?
子どもが仕事や人間関係でどれだけ悩んでも、親は直接助けてあげることは出来ないんだから。
近くに住んでたら安心、ってのも分かるけど、「女の子は心配だから」で生活圏を制限する理由には全くならないよね?

息子も娘も、産まれ育った土地から出て行ってもいいし、帰って来てもいい。地球ってそこそこ広いから幸せになれる場所はどっかにあるよ。


好きなところへ行き、好きに生きな。


まぁそう言えるのは私自身がまだ若いからなんでしょうね。
年老いたとき、子どもに近くにいて欲しいと思うのかもしれません。
それでも、子どもにはどこで生きてもいいんだよと言いたい。

あ、でももしも県外の私大の医学部に行きたいって言われたら反対する。
そんな金はウチにはない。ごめん…。



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