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香川照之と私と息子

俳優の香川照之(敬称略)を初めてきちんと認識したのは映画「北の零年」でした。
父が借りてきたDVDを見て、初めて香川照之という俳優の存在を知ったのです。

香川照之と聞いて一般的に連想する役って何でしょうか。
多分今なら大和田常務が1番多いんじゃないかな。
でも私は、いつもこの「北の零年」に出てきた香川照之を連想してしまいます。


内容をザックリ説明すると、
武士が色々あって北海道開拓民として入植してきたけど、寒いし米育たないし蝗害とか明治維新とか色々あってめちゃ大変!
って話です。(酷い)
興味がある方は調べてみてね。

この映画の中で香川照之は、汚い手で開拓民の村を掌握した「金と権力を持った性根が腐った悪党」という役柄でした。
笑顔で取り入り、恩を着せ、つけ込む。
すごくイヤな役です。

詳細はすっ飛ばしますが、石田ゆり子(敬称略)が開拓民の1人として出てきます。
石田ゆり子、北海道に一緒に連れてきた息子を早々に病気で亡くし、更に飲まず食わずな極貧生活なのに妊娠してしまう。夫は飲んでばかりでアテにならない。困った。堕ろすしかない。
でも子どもはもう亡くしたくない。

という経緯の下、香川照之に身を売ります。
香川照之に身を売れば衣食住は保証されるし、お腹の子も香川照之の子としてこっそり産める。
元々薬売りで平民の香川照之は石田ゆり子が元武家の女なのでイェッハー!!です。即囲います。
次の年産まれた子どもは自分の子どもと思い込んで可愛がるけど全然気の毒じゃない。ゆり子、頑張ったね。

この香川照之が石田ゆり子を手籠にするシーンがゲスいのです。最低です。クソです。
当時、私の中で石田ゆり子は「もののけ姫のサンの声の人」でした。
ディズニーよりジブリ派な小学生だった私は、もののけ姫を映画館で1人で4回観るほど敬虔なジブリファンでした。
制作裏話的な密着番組があれば必ず見て、アテレコに苦戦する石田ゆり子が声優ではなく女優と知って、こんな綺麗な人があんな素敵な声で演技するんや…と尊敬しました。
以来ずっと、石田ゆり子を見れば「あ、サンだ」と思って声を聞いていました。

そのサンがクソみたいな男に襲われている。

若干潔癖気味だった当時20歳そこそこの私は、香川照之を秒で生理的に嫌いになりました。
そしてこれ以降、テレビやドラマで香川照之が出るたびに「石田ゆり子を襲ったオッサン」として見るようになりました。
※劇中では吉永小百合も襲ってます。最低。

今ならそこまで強烈なインパクトを残せる役者さんってすごいよね。と思います。
でも若かりし乙女だった私には、演技のスキルを越えた生理的嫌悪感をぶん投げられた気分でした。
あの儚げで美しい石田ゆり子の身体を貪る香川照之が、心底おぞましく汚く思えたのです。

いつまで北の零年引きずってんだ、と自分でも思うのですが、香川照之もよくないのです。
ことごとく悪党ばっかり演るもんだから、私は大和田常務を見ても石田ゆり子を襲ったオッサンを連想してしまう。利根川ももちろん石田ゆり子を襲った金持ちのオッサン。
こないだ金ローであってた「るろうに剣心」に至っては蒼井優を(設定上)手籠にしてた。
なんてクソ野郎だ。許せねぇ。


でも香川照之、バラエティに出てると本当に面白い人なんですよね。
頭の回転がめちゃくちゃ早いんだろうなぁと思ってたら暁星学園→東大って、え、待ってどんだけ賢いんですか?
一時期あまりにもバラエティ番組に香川照之が呼ばれてやりたい放題トークを繰り広げるので、ここ数年私の北の零年トラウマはだいぶ薄まってきました。
香川照之、面白い。


そんな私の息子は、カマキリ先生が大好きです。

録画した「香川照之の昆虫すごいぜ!」を何度も何度も見ています。
レゴでてんとう虫の幼虫を作っています。なぜ成虫を作らない。
番組では毎回、ただの昆虫ガチ勢じゃん…ってくらいの解説量。香川照之、面白い。

きっとこれから先、息子は香川照之を見たら「あ、カマキリ先生だ」と思うと思います。
そして私はやっぱり「石田ゆり子を襲ったオッサン」と思い続けると思います。


私は多分、香川照之のファンです。



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