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StrayKidsが語るNOEASY

意訳を多く含みます。元記事はこちらからどうぞ。
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ゴロゴロドッカ―ン。KPOPの達人Stray Kidsは雷鳴と共に地球へと降り立った。正確に言えば韓国のルーツの象徴、韓屋村にである。最新シングルのMVで彼らは韓国の伝統的な口承文芸”パンソリ”の歌い手を意味する「소리꾼(ソリクン)」である。「소리(ソリ)」は音、そして「꾼(クン)」は実行者の接尾語で何かをよくする/非常に上手な人を指す。ここにStray Kidsの最初の啓示がある;”自分の騒がしさを受け入れろ”

これはグループが直面してきた”うるさすぎる”、”やかましすぎる”、”工事現場の音みたいだ”という的を射た批判への応答だ。2018年のデビュー以後Stray Kidsはグループ内制作チーム3RACHA(Bang Chan, Changbin, Han)を中心にほぼすべての楽曲を作詞・プロデュースしてきた。このような自立性と情熱を持ち境界のない音楽を追求してきた彼らが神経をとがらせるのは時間の問題だった。

バンチャンはVlive中に「Stray Kids, construction music」(スキズは建設音楽、つまり工事現場の音のように騒がしいだけで音楽的価値のないことを暗に示す)というコメントを拾いました。そして次のように答えています。「僕らは実際曲を作って(建設して)るんだ、だからそうだね、賛成するよ」

https://twitter.com/skzandwomen/status/1412505238641197056?s=21

リーダーのバンチャンは「ノイズミュージックという言葉は実は自分たちの武器として使えると思った」とTeen Vogueに語った。この言葉は8月23日にリリースされた正規2集、NOEASYのタイトルのインスピレーションとなった。この言葉遊びは、変わらない力や強さを伝えようとしている。「苦痛、逆境、否認、批判、なんであれ僕たちを妨害しようとする”大きな声”に直面しても、簡単に動揺したり、その前に倒れたりすることはない」と扇動ラッパーのチャンビンは言う。

タイトル曲“Thunderous”は、イタリアの画家である作曲家、そして騒音の観察者でもあるルイージ・ルッソロを驚かせるであろう要素を取り入れ、多くの層にその意味を盛り込んでいる。彼は1913年の未来主義宣言『騒音芸術』に「人生のあらゆる兆候にはノイズが伴います。それ故ノイズは我々の耳に馴染み、生命そのものを即時に想起させる力を持っています」と書いている。彼は音を「人生から疎遠で、常に音楽的で、それ自体があまりに身近になった」とし、「不規則で混乱した人生から届く不規則で混乱したノイズはそれに代わり、決して我々に全てを明らかにされることはなく常に無数の驚きを抱いているもの」とした。

ここの訳があまりにややこしいので私の解釈を少し。
ルッソロは”音”で音楽を作るのは私たち自身も気が付かないうちに形成された”音楽とはこうあるべきものだ”という暗黙の価値基準に基づいた行為だと述べているような気がします。生活の中に溢れる”ノイズ”で音楽を作ることで従来の音楽の領域を越えようとしたのではないでしょうか

“Thunderous”では現代のシンセとドロップが韓国の伝統楽器と融合し、激しい音の嵐を起こす。「すべてをより大きなスケールで表現したかった」とオールラウンダーのハンは説明する。ボーカルのスンミンは「꽹과리(韓国の民族音楽に使われる金属製打楽器)や韓国の伝統太鼓などの多様な楽器音を強調するためにMVのテーマに韓国的な要素をたくさん混ぜ込んだ。こうしてすべてを組み合わせたことで曲に深みを持たせることが出来たと思う」と付け加えた。

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このシングルはヘイターに向けた皮肉であり、同時にノイズや破片を含んだStray Kidsの真髄への称賛である。彼らが最初に上陸した韓屋村は程なく歴史的な宮殿へと変わる。農楽と白獅子の間で彼らは蛇のような、悪魔のようなダンスを披露する。”ペッペッペッ”と唾を吐き、”謝らない、俺は汚いんだ”と主張する。組んだ腕はクスクス笑う口を表している。威嚇的な赤色もしくは韓服風の衣装に身を包み、人間を助けも邪魔しもする神話上の生物、トッケビにちなんだ青い炎で遊ぶ。”ずっと言ってろ、俺たちはルールに従わない”とオーストラリアのメンバー、フィリックスが歌う。

飾りのない彼らのメンタリティは実を結んだ。全ての”잔소리꾼(小言を言う人≒ヘイター)”に対してファンは10倍になったのだ。NOEASYはこれまでに110万枚の売り上げを記録し所属レーベル JYP Entertainment 史上最も売れたアルバムとなった。「僕らの音楽がノイズミュージックだと表現されている事実は、本質的には僕らの音楽が印象的だということを意味している」とStray Kidsの騒々しいラップとは対照的なビロードボーカル、スンミンは語る。

NOEASYはStray Kidsが昨年のフルアルバムGO生で完成させた音楽的アイデンティティを強化した。タイトル曲”神メニュー”で表明した通り、第一印象は強烈かつスパイシーに、しかしアルバムを通して聴くことで、どんな味にも合う料理を彼らが持っていることがわかる。チャンビンは「キャリアの初めの頃は自分たちの音楽について少し迷いがあった」と振り返る。「でも自分たちの音楽的なカラーを継続して追求し発展させたことでStray Kidsというジャンルを確立して今の僕らのようなチームになることができた」

ピリッとした挑戦(“CHEESE,” “DOMINO,” “SSICK”)から甘美なアップテンポ曲(“The View,” “Surfin’)、芳香のある滑らかな曲((“Red Lights,” “Silent Cry”)までNOEASYの14曲を通じてグループは強く輝いている。そういう意味で、Stray Kidsが騒音しか生み出さないと文句を言うことは、行きつけのバーガーとポテト以外は全て拒否する偏食家に似ていると言える。

「新しい試みにはいつでも興味津々で楽しみですが同時にそれは試行錯誤がはるかに多いことも意味しています。僕は自然なプロセスだと思いますが」とチャンビンは話す。フィリックスも「僕らは完璧なチームではないけれど、時間が経つにつれて最善を尽くしている。それぞれのメンバーが視覚的にも精神的にも違うけれど全員が僕らのファンの為に最高の音楽とパフォーマンスを生み出したいという同じ目標を持っている。」と同意する。

今年の初め、Mnetのリアリティー番組 Kingdom: Legendary War で彼らの堅いチームワークが試された。他の素晴らしいKPOPアイドル達と戦いながら、彼らは”神メニュー”とBLACKPINKの“Ddu-Du Ddu-Du”のリミックス(デッドプールのオマージュが俳優ライアンレイノルズとヒュージャックマンとオンライン上で友情を深めた)のような想像を絶するレベルの複雑なステージを披露した。Stayとして知られるファンダムのサポートを通じてStray Kidsは番組の優勝者となった。

情熱的なダンサーのリノは「キングダム中にたくさんのアーティストの様々なスタイルを観察することができ、自分たちの幅も広げることが出来た」と話した。その経験はNOEASYの発射台であった。負担の大きい競演であったがその一歩一歩が「自分たちに一番よく合うパフォーマンスと音楽を発見するのに役立った」とフィリックスは語っている。

「1位になって初めてのカムバックだから関心が多かったようだ」とリノは言う。GO生の発売から1年余りが過ぎ、今回のリリースの重要性は増している。特別コンテンツ、vlog、シングル曲、Twitterでのmemeなど止まらない供給の傍ら、「久しぶりのアルバムリリースでこれまでよりもお互いにもっと信頼しあい、応援しあった」と語るのはマルチタレントなヒョンジン。「僕らのパフォーマンスがクールだということに改めて気が付きました」

末っ子アイエンは今回のアルバム準備期間に交わした会話を通じて「お互いの新しい面を学んだことがさらに僕らを身近にしてくれたと思う」と付け加える。“Red Lights,” “Surfin’,”“Gone Away”では異なるユニットで新たな挑戦をした。チャンビンは「3RACHAとしてではなく、他のメンバーと曲作りをするのは新しい経験だったが、思っていたよりはるかにスムーズに進んで嬉しかった」と振り返った。


互いにとても近く親しいことでー大多数の人間には難しいがーStray Kidsは脆弱になれる。人間であることの複雑さと日常的な経験の両方を明確に伝える能力に支えられていることが彼らに忠実なStayが増える理由の一つだろう。「僕たちが若者の声だと言ってくれることは大きな誉め言葉であり、そう思ってくれるたくさんの人に感謝したい」とバンチャンは話す。「でも率直に言うと僕たちがしたのはそれだけなんです。”正直に、そしてオープンでいること”、これは僕たちが正直で僕たちに心を開いてくれるステイから学んだことなんです

Stray Kidsはsorryしないし、ただの“소리(ソリ、音)”でもない。彼らは粘り強さの定義であり、予期せぬ驚きをもたらすために、汚く騒がしい面を探求することを恐れない。今回のアルバムで新たな高みに達し、ヒョンジンは人々から「Stray Kidsの音楽的カラーは本当に多様だ」という言葉を聴きたがっている。バンチャンは人々がその無限の可能性に気づくことを願ってこう強調した。「僕たちはなんだってできる。ずっとわからないかもしれないし、自分は特別なものを何も持っていないというかもしれない。だけどSSICKの歌詞がそうであるように、”自分自身が物凄く特別なんだ”」




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