見出し画像

詩20「二人の大きな少年」

ランドセルが
小さく見える
大きな少年は
いつも
一人で歩いている

周りは
二人や三人で
身を寄せ合い
大笑いして
楽しそうなのに

僕も
小学生の頃は
背が高くて
ランドセルが
似合わない少年だった

電車に
小人料金で 
乗ると
駅員から疑われるような

彼は
どうして
一人なのだろう

仲間外れに
されている
ようには見えない

むしろ
堂々としている

とても気になるのだが
声を掛けて
聞く訳にもいかない

土曜日の昼過ぎ
母親と
嬉しそうに
並んで歩く
彼を見かけた

授業参観だったようだ

少年は
背の高い母親と並ぶと
まぎれもなく少年で
小さな友と歩く時と違って
ランドセル姿が
とてもかわいらしく見える

みんなの前では
気取っているだけなのかもしれない

たぶん
一人で歩いていることに
意味なんてないのだ

何だか
安心する

母親を見れば
少年がまだまだ伸びることは
間違いない

小学生で
成長が止まった元少年は
少し嫉妬する

あと
一年もすれば
追い越されるだろう

大きな少年だった僕は
今となれば
小さな中年だが
しぶとく生きている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?