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詩17「真夏日の秋」

十月に入り
歳を一つ重ねた

秋に生まれたはずなのに
半世紀後は
真夏日で
半袖のポロシャツを着て
汗を拭きながら歩く

服屋には
秋冬物が並び
スーパーでは
秋刀魚、栗、松茸を見かける

暦と
季節と
気候が
ずれて
ゆがみ
身体と
心は
振り回される

せめて
気分だけでもと思い
吸い物の粉末と
エリンギで
松茸風の炊き込みご飯を作った

本物には
手が出せないから
風味で我慢する

鼻から
口へと
秋を感じる

本当は
松茸ご飯を
最後に食べたのが
いつなのかも
覚えていないのだ

真夏日の秋には
本物より
偽物が
良く似合う

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