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詩92「誕生日の夜」

せめて
ビールを

まもなく
日付が変わる

とにかく
祝杯を

一本飲んだら
日付が変わった

今年は
間に合わなかった

いつもの
晩酌に変わる

誕生日は
終わったのだ

ビールの後は
第三のビールに変える

新しい
一日が始まった

見下ろす
ビール腹が
年輪に見える

誕生日の
再会は
果たせず

残業疲れなのか
一気に
酔いが回る

亡き
父と母が
現れる

日付が変わり
諦めていたので
嬉しさと
恥ずかしさが

既に
二人を
超えて生きる
図々しい息子は
また
ひとつ
年上になった

どう見ても
二人の方が
若いのだから
嫌になる

それでも
俺は
誕生日プレゼントをねだる

父の運転で
どこか
景色の良いところへ

 誕生日は
 昨日だから
 また来年ね

懐かしい
笑い顔で
二人は
薄くなる

なによりの
プレゼントが
消えていく

やはり
誕生日でなければ
叶わないのだ

一気に
酔いが醒め
濃い目のハイボールに
切り替える

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