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詩64「或る気づき」

追いつきそうで
 追いつけない

ずっと
同じことを
繰り返している

加速すれば
加速する

 減速したら
 減速する

いつまで経っても
距離は縮まらない

ずっと
同じことを
繰り返していたら

背後で
誰かが
笑った

 追いつきそうで
  追いつけないのは
追い越そうとしないからだ

聞き覚えのある声は
あっという間に
追い越していく

追いつくことは
無理だと思っていた

だから

追い越すなんて
考えたこともなかった

だけど

置いていかれるのも
嫌なのだ

追いかけるけど
 追い越すことなく
追い越されるばかり

どこか
見覚えのある
後ろ姿を追いかけ続けて
人生の終盤へ

どうして
僕だけ
こんなに疲れているのか
分かった気がする

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