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詩76「問い」

いったい
なんのために
生きているのか

 コンビニで
 唐揚げ弁当を買い
 おつりを
 募金箱へ捨てる

ぜんたい
なんのために
働いているのか

 募金の
 使い道は
 知らない

いったい
なんのために
半世紀も生きてきたのか

 コンビニの
 駐車場で
 酔って
 大きく笑う
 老人がふたり

ぜんたい
なんのために
遅くまで働いていたのか

 久しく
 笑ったこと
 なんてないと
 気づかされる

いったい
いつまで
生きるのか

 店内に
 戻って
 缶チューハイを
 四本買う

ぜんたい
いつまで
働くのか

 子供みたいに
 はしゃぐ
 二人に
 差し入れをする

いったい
いつまで
生きなければならないのか

 募金好きの私は
 時々 募金みたいなことをする

ぜんたい
いつまで
働かなければならないのか
 
 肩を組まれ
 一緒に飲もう
 と言われたが
 飲めないから
 と嘘を吐いて
 蒸し風呂のような
 狭いアパートを目指す

いつから
私は
どうでもいい
ことばかり
考えるように
なったのだろうか

 おにいさん
 いい人だね
 気をつけて
 帰りなよ
 お仕事
 ご苦労さま

いつから
私は
どうにもならない
ことばかり
考えるように
なったのだろうか

 振り返り
 子供みたいな老人と
 手を振り合ったら
 笑いが込み上げる

いつまで
私は
答えのない
問いを
問い続けるのだろうか

 昨晩も
 唐揚げ弁当だった
 ことを思い出して
 小さく笑う

いつまでも
私は
答えのない
問いを
問い続けるのだろうか

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