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読書日記193 【この素晴らしき世界】

 東野幸治さんの作品。お笑いのどちらかというと大御所の吉本芸人であって、「幻ラジオ」とかで芸人の悪口を言ったりしている。辛口というか毒舌というかのエッセイ。これも、芸人さんのことが書かれているんだけど、80%が悪口でできている。DMMで50%ポイント還元やっているので買ってしまった。

 東野幸治さんというと、癖になる人もいるけど、許せない人もいると言われていて、賛否両論ある。エッセイ的には、売れなくなった芸人を集めて語っている感というのは否めないけど、若手といわれた芸人が40歳をこえるようになってきてコンテンツ的には高齢化社会をモロにみている感じはある。「オワコン」と言われるけど、見ている本人(私)だって「オワコン」なのだから、新しいものをみたいとは思わないのかもしれないと、この頃、本気で思うようになった。

 その中で、テレビで活躍することを望んでいない芸人に焦点を当てているのがすごく面白い。ノンスタ石田とか藤井隆とか舞台がメインでテレビはちょこっと出演して認知度をあげるだけというのを意識している芸人がいるというのを知るのも裏の話が書かれているこのエッセイを読むまでわからなかった。人気者にならなくたって食べるのに困らなければ自分のしたい芸能をするというのは、すごく共感がもてる。

 売れたくて懸命に相手を陥れたり、恨み節を語る南海キャンディーズの山崎やら、周りに嫌われているのを知らずに突っ走り遂に仕事がなくなった品川庄司やら、「友達にいたら嫌だろうあ」と思う芸人がいたり、貧乏なのにそれを苦にしない芸人がいたり、読んでいてこんなことがあるのか、あんなことがあるのかと面白くなっていく。文章の量も週刊誌に連載されていたものなので丁度読み易くなっている。

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 マイノリティーの文化というか、コロナの影響なのか今までにはなかった古い文化との共有というかがドラマになったりしている。今のクールで『お耳に会いましたら。』というドラマがすごく面白くて観ている。マンボウやしろというこれまた売れない芸人から脚本や構成の作家になった人が脚本を書いていている作品で、ラジオ好きの主人公の女性が普通のチェーン店のご飯「チェーンめし」を、ポッドキャストで語るというシンプルな話なのだけど、これが何故か面白くハマっている。これの面白いところってSpotifyでこの主人公の美園がやっているポッドキャストが本当に放送されていて聞けるという点もある。


 主人公を演じる女性は伊藤万理華さんという女性で、元乃木坂46の人らしい。ただ、元アイドルという感じがなく、個性的な感じがすごくいい印象なのと、芝居がうまい。出てくる題材も「餃子の王将」や「くら寿司」などいわゆる「チェーンめし」なので、観終わった後に食べに行きたくなってしまう。後、ラジオ界のレジェンドである吉田照美生島ヒロシなども出てきてすごいアクセントになってる。アマゾンプライムで配信してるので過去の配信も見やすい。

 盆休みになってもコロナで何処にも行かずにYouTubeやTikTokなどを観て過ごす時間も増えてきた。だけど、ただシンプルにドラマを観てチェーンめしをお持ち帰りで食べるのも楽しいなと思えるようになる。「シンプルに面白いでいいんだよね」と独り言を言っている自分がいてちょっと笑ってしまった。

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