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空の波間に

19時頃。
面倒だな、という感情に覆い被さられるより早くお風呂に入った。

そして、今夜は早く寝ようと思った。

ずいぶん見ていない白む空に思いを馳せながら、明日は朝早く起きて、気持ちよくなってやろうと意気込んで。


それが今の感情だ。
そういう瞬間がある人には何度かあるだろう。
ざあ、と降っていたはずが今ではぽつぽつと屋根から雫が落ちる程度に収まった雨音を聞きながら、空気が雨に流されてカエルの声が良く響くようになった夜に。

荒々しい雲を見た。
積乱雲が発達していく様子はいつ見ても心を青空に引き込んでくれる。恋しいとも思った。
いつか見た、雲を閉じ込めたようなオパールを思い出す。それをいつか、手にしてみたいと考えているうちに雲はどんどん変わっていく。
そのうちのっぺりと空を覆い尽くす曇天に変わるのを少し遅めてくれと願いながら。
しかしその後の豪雨に心躍る。
溜めに溜めた雨粒を、一気に地上に落とす。
空が澄む。
また荒々しい雲を産む。
そのサイクルが好きだ。夏の暑さに身を焦がし、日陰から見上げた空を向かえる季節。

どうしようもなく血が巡る。

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