日本BLドラマ「インディゴの気分」第3話を本気で見た

第3話の副題は「理性の限界を超えた目覚め」

前回の予告からしてもうお察し頂けるほどの鬼ハイカロリー鬼な感じではありますが、冒頭からすごい。
鬼畜で鬼才・もはや鬼の蒲生田先生からの「あいつのしゃぶれるか?」というなんとも悪趣味極まりない挑発に対し、木島は腹を括って立ち向かう。
ベルトに手をかける木島に、城戸は「おい、マジかよ」と焦って思わず木島の手を掴んでガッと止めようとする。
「やっぱやめようぜ、お前がそこまでする必要ないって……!」「ちゃんといけよ」
いや〜〜ここの木島はめちゃくちゃ男らしく見えて最高。これがBLの醍醐味かなと。
女の真似事くらいやってみせろ、っていう蒲生田先生の言葉があったから余計にそう見えたのかもしれないけど、男と女では見えないもの、男と男であるからこそ描ける、ぶつかり合いのシーンがすごく良くて、私は大変興味深かったです。

葛藤を押し殺して顔を寄せる木島に、もはや抵抗することさえ出来ずにいる城戸。木島にくわえられてまともに立っていられずに障子の扉の縁に寄りかかってるところの情緒ったらもう。画角もすごい。この部屋の障子の扉の下のガラスの部分越しの、ちょうどその縁が画面に入るようになってるのがさ……その撮影してるカメラの角度を考えると、当然城戸のものをしゃぶる木島の姿は見えない。でもその行為の音は聞こえてくるっていう。
ここのシーンは日本の情緒をバチバチに詰まってていいなと思いました。木島がしゃぶってる姿を見せないところが視聴者にドラマの中へグッと入り込ませる要素になっているみたいな。マジでものすごく計算された映像なんじゃないかなと……すいません、私は素人です……。

愉快そうに見ている蒲生田先生と、余裕のない中で何かに目覚めそうな城戸の対比が激アツ。城戸の中の征服欲の扉を一気にこじ開けられていくようでゾワゾワする。実は一番開いちゃいけない扉なのに。
木島の姿が映らない分、城戸の表情や様子は真っ向から撮るっていうのも強い。例えば、なんというか、比喩?代替表現?みたいな感じで庭にある鹿威しとかに逃げないのがいい。鹿威しも日本の情緒だけど……。
「(木島の舌に興奮した。今まで付き合ってきたどの女より……)」
城戸は木島の口で果ててしまい、蒲生田先生はその光景を見てそりゃあもう楽しそうに笑っている。爆笑してティッシュの箱を投げ、木島がそこに出すという。改めてすごいなフジテレビ。
ここで木島のはっきりとした表情を映さないあたりもまた情緒。でもめっちゃ嫌そう。蒲生田先生は「理生、明日からうちに来い」と言い、無事に蒲生田先生の弟子になる。

この木島の顔は芸術的でしたね。いつも木島の顔が可愛い可愛いと騒ぎ立ててはいますけども、こんなにもパーフェクトにアンニュイな顔つきで一位が塗り替わりました。美しい。緊張や葛藤や恐怖とか、ものすごい強いストレスを受けた後の虚脱した顔。からの画面が半分インディゴに染まる。これはヤバすぎ。額に入れたい。

帰りのタクシーの中で城戸は「なあ、なんで……なんであそこまでやったんだ」と木島に聞くと、外を眺めながら「なんでって、君が言い出したんだろう」と答える。この屈折してない木島の答えに、城戸はめちゃくちゃビビったはず。
「さっきのことはさ、お互い忘れようぜ。変態老人のパワハラに付き合っただけで……」「……どうだった」「え?」「さっきの」
そう言って外を向いていた木島が、城戸の方を向く。この一瞬で城戸は理性のペダルを踏み外す。木島の頭を強く肩に引き寄せると、木島が下から見上げるように、まるで誘ってるみたいに見上げるわけです。

衝動に戸惑う城戸ですが、一度踏み外したペダルにはそう簡単に足を戻せない。木島の顔に手を添えてキスをする。
この映像もめちゃくちゃ綺麗なの。逆光だから二人の輪郭に街頭の光がスッと入るところなんかビリビリきます。美しい。あと音へのパネエこだわりも感じました。非現実のなかで生々しい音をゴリゴリに使うって言う。BGMの仕事が抜群。
このキスシーンは、足掻けば足掻こうとするほど深みにはまっていってしまう城戸がなんともかわいそうというか、屈折していない木島のピュアな気持ちのせいで、余計に屈折していく様子がすごかったです。

「(そこからベッドまでの記憶が曖昧だ。)」
……いや待って。今の今までタクシーの運転手のこと完全に忘れてたけどよく事故に遭わなかったと思う。どうかボーナス弾ませてください……この敏腕ドライバーに特別な手当をあげてください……。

タクシーを降りて足早に部屋に戻る二人。部屋の電気もつけず、力任せに木島を暴こうとする城戸。
ここで城戸が木島をそこそこ乱暴にテーブルに押し倒すんですけど、こんなにも光と影のバランスが最強なことあるんだ???って感じでした。玄関の光だけが部屋に差し込むと、木島の胸、城戸の背中に光が当たるわけ。さすがに深読みもいいところかもだけど、照明から見る心情がわかりやすくて素敵でした。
演技の熱の入り具合もすごくよくて、余裕がない感じと、頭で分かってるのに引き返せない感情が手の動きでよく分かる。
そこで木島が情けない声で「どうすんだよ、こんなことしてさ……セックスするしかないじゃん……」と、めちゃくちゃ今更なこと言う。
この時顔を腕でクロスして隠すのヤバくないですか?いやいや蒲生田先生のところでくわえておきながらこの期に及んで顔隠しちゃうんだ??みたいな。

城戸「……するんだよ。したいんだろ?」と、顔の前にある木島の腕を解き、テーブルに押し付ける。そこで「顔に書いてある」と言って、木島の体を貪る。

私はごく一般的な女なのでそういう視点になってしまうけど、この男の中の……どうしようもない心の中の弱さっていうんですかね……「俺は何も悪くない、こいつがそういう顔をしてたからだ」みたいな、責任転嫁するところがリアル。
今から木島とセックスする理由を木島にゴリゴリ押し付ける城戸を責めるどころか、逆に切なさがカンスト。吉田さんはマジもんの激ヤバ俳優だよ……いい意味の……。

ベッドの上で木島を抱きながら城戸は「お前さあ、女のここ、入れたことある?」「……ないよ、まさかあんの?」「俺は結構好き」「信じらんない……」「うるさい」
いきなり城戸の本性丸出しで笑った。なんて男だよ……とんでもないサディスト野郎……。
あと攻められる木島が腕で支えきれなくなるあたりもうまい。シルエットだけしか分かんないのに表情まで読める。すごい。
二人が余裕と理性を無くしたところで「なぁ、入れていい?」「無理、絶対無理……そんなの、はいるわけない……」「まぁ今日は無理か……じゃあ……」

ここでシルエットから窓越しの二人が映る……あーー恐ろしい!!!!!なんて恐ろしい男……いやすごいな?!?何度でも言うけどとんだサディスト。
そして監督はついに私の中のドラマ界日本代表に選出されました。超個人的に。
事後、ふと木島が城戸に「今日は無理って言ってたけど、明日なんかあるのか」と問う。城戸は都合よく寝息を立てている。いやマジかよ……ガンガン振り回していくじゃん……怖……。

 

翌朝、目を開ける城戸。まつ毛が長い。
体を起こすと木島の姿はなく、テーブルの上には「先生のところへ行きます」のメモと鍵。それから木島はしばらく先生のところから帰らなかった。
 一方蒲生田先生の家では、体の調子が悪くて医者からは余命が1年持つかどうかと言われていて、もう半年が過ぎたと語る蒲生田先生。木島は奥ゆかしく半歩後ろをついていて、ただの良い嫁でした。

「随分、冷静なんですね」「しんどいんだぞ、こう見えたって。しょっちゅう熱は出るし、腹に水は溜まるし、あっちこっち痛くてなぁ……」「そうなんですね」
「今までやりたい放題やってきたんだ。こいつさえ書き上げればもう思い残すことはねえ……まあそんなわけで、時々はこの寂しいじじいの話相手にでもなってくれや。そう長くはねえから、よろしくな」

蒲生田先生のことはとんでもない変態鬼畜作家だなと思ってましたけど、こういう普通の話をしている時の雰囲気はとっても好きだし、木島とのふわっとした師弟関係を徐々に作っていくようなところも面白い。
しばらく執筆をしていた蒲生田先生がふとペンを置く。淡々と洗い物を済ませる木島の元へやってきて、「そうだ、お前が弟子だっていうからにはお前の書くものも見てやらねえとな」「ありがとうございます」
「しかしなんでまたポルノなんて書こうと思ったんだ?好きなのか?」「いえ、正直城戸君に言われるまで読んだこともありませんでした」
「それじゃあ金か」「そうです。でも全然うまく書けなくて……ポルノは向いてないのかもしれません」
ここで変に取り繕わずにスッキリと認めていく木島。素晴らしいよね。
自信を失っている木島に対して蒲生田先生は「いやあ、お前、スケベの才能あると思うよ。城戸に尺八してるところなんか見ものだったぞ。久しぶりに興奮した」「ああ、はあ……」そこ褒められても気まずいよね……でも才能はあるから……。

蒲生田先生につれられて、部屋の2階にやってくると、ものすごい道具が揃ったヤバイ部屋が目の前に広がっている。「ここは……」「俺のやり部屋だよ」
ビビる木島「これは資料じゃなくて本当に使うんですか……」「もちろん。俺のエロ小説が真に迫っていると言われるのは実践して取材してることを書いてるからだ」
「優れた官能小説を書くには、僕も先生のように経験をしなければならないのでしょうか」「いや、そうは言ってねえ。体験か想像かは大きな問題じゃない。大事なのはてめえの欲望が、そこにあるかどうかだ」「欲望、ですか……」「何かあるだろう。性癖とか、好みとか」
「僕は淡白なところがあるのかもしれません。それなりに経験はしてますが、自分からセックスを求めたことがなくて……ただの生理現象というか」
このセリフはあの城戸の「したいんだろ?顔に書いてある」発言が引っ張り出されるポイント。

「まぁ難しく考えるな。あんなことをしたい、こんなことをされたい……そう思ったことくらいあるだろう」木島はどう見ても心当たりありまくりの顔で「……よく分かりません」
「ふーん、そうかい。官能小説なんてのは、嘘っぱちだらけで虚構の最たるものだろう。だからこそ、自分の中にある真実の欲望を書いて初めて他人の心を動かせるんだと、俺は思う」
いや〜〜〜〜やだ先生ものすごくかっこいいんですけど〜〜〜〜!!!

 そして、蒲生田先生は木島に居室を与える。使い込まれた机のある小さな部屋で、夕方になると西日が強く差しこむ。
あの黒のハイネックを着てる木島がふっと西日のほうを振り返るんですけどこれこそが美。美でしかない。目を伏せた時のまつ毛の影を見ましたか?最高。
そして机の引き出しを開けると、そこにはちょっと本気で映せない玩具……えっ……マジ?この人マジなの………!!?

城戸が仕事の功績がいい感じに認められて人事もいけそうな気配の中、木島は玩具を手に試す。
城戸との夜を経て、あの「明日」が来ることを想像して……?ちょっと……とんでもない健気さなんですけど……行き過ぎたピュアは身を滅ぼす……初めて知りました……。
あと個人の自由だけど、とりあえずその戸を閉めたらどうですか???ねえ???せめて戸を閉めよう!!!?あと脚が綺麗ですね!!!

といったところで終わる。
今回ちょっと映像の技術的なところに感動してテンションが変な感じで読みづらかったらすみません。
どう見ても次回からまたどんどん転がっていく感じになるんですが、色々贔屓目抜きにして冷静に面白いと思うこのドラマ。
当然ジャンルに対する好き嫌いはあると思うけど、どのシーンにも全部意味があって、理由があるから見ていて違和感や気持ち悪さがない。
もし昼ドラの枠があった時に放送されてたら物議とともに超流行りそうだったな……東海テレビさんノリノリでぶっ飛んだの作りそうじゃん……。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回に続きます。

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