日本BLドラマ「インディゴの気分」第1話を本気で見た

インディゴの気分は配信始まった時から書こう書こうと思っていて、完全に立て込んでしまいタイミング逃したなと思ったら地上波で放送しちゃうっていう感じだったなという記憶があります。
……正直、地上波いける?確かに今は令和だけど、令和だからっていけるかな???いくら深夜といえど、これはどう地上波に対応する???無駄がなさすぎてそのままいくのかな?と要らぬ心配を抱えたりもしました。
結果としてはいけましたよね。やっぱりフジテレビジョンはYDK。

1話の副題は「運命は青藍のように」

城戸さんからのモノローグから始まって、いい感じのバーにいる二人。
「なんとも説明しづらい関係ってあるだろ。でも、一言で言うなら彼との関係がそうなんだ」
すると、先生はおもむろに「付き合うことにしたんだ」と言う。
「誰と?」「久住くんと」思わずむせる城戸さん。そりゃむせるよね。
「まぁ、改まって言うことではないんだけど」「何カッコつけてんだよ。口元にやけてんぞ」「そう?」

え、え〜〜っ!!!なにその情報〜〜〜 確かに声が嬉しそうだし先生ちょっと後ろ振り向いて〜〜〜〜と、私の中の竹財輝之助様の顔面好きが顔をのぞかせてしまいましたが気にせずいきましょう。
「断言するけど、久住くんみたいな物好きこの先二度と現れないからな……大事にしろよ」
このシーン、二人の背中だけしか映ってなくてもマジすごいから。要素が。男は背中で語るとか言うけどあれはガチだね。語るよね。いや〜〜これは悔しいけど、やっぱ監督が男性だからこそ撮れるの映像なのかな……女性の視点って感じがしないからいいのかも…………分からないけど……。

タクシーに乗ってる二人、飲みすぎた先生は城戸さんの肩に頭を預けちゃう。先生……すぐそういうことする………!!!!!
そして、不意にあの日の衝動が蘇ってしまう城戸さん。そして吸い寄せられるように顔が……あっ、その感じよくない……絶対よくない……と思ったら目が開く先生。タイミング。
「ごめん」「ああ、いや……悪い……」
思いっきりかき乱されている城戸さん。もう先生とはベッドになだれ込んだりしないのに……と、気の迷いを搔き消すように外へ目を向けるのでした。まぁ分かる……酔うと色気大解放するから……そういえば久住くんもそれでやられてる……。

遡ること数年前。大学時代のゼミの教授の葬式。ゼミの仲間と葬式にやってきたところ、唯一連絡がつかなかったという木島の姿を見つけます。
喫煙所で一人タバコを吸っている木島。これはどうにも未亡人の色気……喪服のいやらしさを無駄に引き出してる……。すすーっと近づいて声をかける城戸。
「木島くん、来てると思わなかった。久しぶりじゃん」
「どちらさまですか?」衝撃。2年間同じゼミだったろ!?!と言うも、全然ピンと来てない木島。
そこへ同じゼミの女性が声をかけると「ああ、斎藤さん!」……いやいやそっち覚えてんのか〜〜いと私も一緒につっこみました。不貞腐れてタバコ吸う城戸。そしてゼミのみんな集まってるよ、と誘われるも一足先に帰ってしまう木島。背中がすごく……未亡人……。
なんだか木島くんの雰囲気が変わったと口々にいうゼミの仲間たちに、城戸はぼんやり大学時代を振り返ります。

作家志望の文学部生だった城戸、在学中に木島が小説で賞を取っていた。どうせ大したことないと思って読んだらとんでもなくて打ちのめされるという。面白いうえに、自分が描きたかったものを書かれて、もう二度と書くかとデータを消した苦い夏の思い出。
城戸は仕事もあるし車で帰るからと言って仲間たちと別れ、ラジオを聴きながら車を走らせる。
すると、目の前には木島がふらふら歩いている。「え?」別れてから結構時間経ってるのになぜ?と声をかける。木島は「帰りの電車賃がなくて」と言って歩いていた。ビビる城戸。
「マジで!?歩いて帰る気かよ!都内だろ?ここ茅ヶ崎だぞ!」「歩けば着くかなって」「家どこよ」「新宿の方」
度肝抜かれる城戸。だってここは茅ヶ崎だもの……。
「乗れよ……」「いいの?」「じゃあねバイバイってわけにもいかねえだろ!?」「ありがとう」
この時点から木島の浮世離れ感がすごい。地に足ついてない感。

車に乗り、木島は城戸に話しかける。
「城戸くんは、何やってるの?」「編集。いかがわしいポルノ小説担当してる」「そういうの好きなの?」
なんだろうね?木島の「?」がいちいち可愛くて胸をかきむしりたくなりますよね。そして今更だけど声がいい。
「ちげえよ。どこも受かんねえから、バイトしてたとこに就職しただけ」「でもすごいじゃん。車乗って」「社用車なんだよ、借り物。3日前、同棲してた彼女に追い出されてさ」
「え?」「会社泊まってて家もねえ。笑えるだろ。結婚するつもりだったんだよ、俺は」「それは、残念だったねぇ」
この木島の感情を含まないトーンっていうの?いいっすよね……興味なさそうな、何考えてるかわからない感じ……。
気付くと木島の家に到着。儲かってる時に買ったというマンション。礼を言って車を出るんですけど、ふと車に戻ってきて「城戸くんさぁ、よかったら今日うち泊まれば?」これは家を失った城戸にとって願っても無い誘い。
「いいのか?!やっと風呂入れる〜」と喜んで家に上がる。「家賃くれるなら住んでもらっても構わないけど」マジかよ。色気大魔神なのに無防備……。

城戸は「確かにここなら会社行きやすいし、マジそれありがたいんだが……」すると城戸は本棚の中にあの木島の賞を取った小説を見つけます。なんとも言えない顔になる木島。話をそらすように風呂を案内する。
そそくさに風呂に入る城戸に、冷えた目で本棚を睨む。ここのカメラワークよ。本棚に投げられた目線の美しさったらないわけ。すごい。
風呂に入った城戸、切羽詰まった声で木島を呼びます。「なに……うるさいな……」と風呂を開けますと、シャワーからお湯が出ない。凍える城戸。

「知ってる?給湯器って買うと結構高いんだ」「えっ?」「水で洗うコツはね、あんまり広範囲に浴びないことだよ……」「わ、分かった……」
そりゃあ借りてる身ですので、強く文句を言わずに素直にいうこと聞いちゃう城戸の可愛さっていうか面白さっていうか。
いやそんなに金に困ってるのかよ……と内心ドン引きの城戸。その間レコードかけて酒を煽る木島。

風呂から出た城戸は、木島の洋服を借りる。城戸がいい体しすぎててもはや草。過不足ない体つき。テーブルの上の滞納、督促状にびっくりする。
「それ、払わなかったらどうなるのかな」
「今全然仕事してないのかよ」「してない。担当とは喧嘩別れしてさ。文学性の違いってやつかな」「いやバンドみたいに言うなよ……」
ここまでで城戸のツッコミスキルというか、木島との相性の良さが伺えます。
とにかくやさぐれる木島に、城戸は「良かったらうちで書いてみるか?俺が担当してるレーベルで。まぁ官能小説になるけどな……レーベルとしては老舗だし、原稿料もそんなに」
「ちょっと待って。ポルノ小説を書けってこと?この僕に?ははは、絶っ対嫌だね!ポルノは文学じゃないよ。目的や用途があるものは全部道具だ。僕は文学しか書くつもりはない。くだらない消費物を書くくらいなら、作家なんかやめたほうがマシだ」
いきなりガッツリ本性出してきた木島に、こみ上げる感情をやり過ごす。「まぁそう言うなよ、先生」となだめすかして「確かにポルノは読者のおっさんをいかせてなんぼってところもあるけど、でも俺はさ木島くんのファンなんだよ」「えっ?」「やっぱりすごい才能あると思うんだよ。俺出たやつ全部読んでんだぜ?」「そうなの?」「ああ、書き続けてほしいんだよ。もったいないよ。いつかまた文学の名作を書く繋ぎでいいからさ」「でも」「はっきり言うけど、金が必要だろ?」

ファンだと言われて揺らぎ、でもポルノは……と渋る木島に借金の督促を見せて会心の一撃。
「どうしたらいいのか、分からないんだ。これから、どうしたらいいのか……」
自分が持っていない才能に溢れる憧れの木島がすっかり落ちぶれて荒んだ姿に、城戸はひどく優越感を覚える。
「木島くんなら大丈夫。キャリア的に気になるなら名前変えればいいし。書いてみなって」
城戸に差し出されたグラスを受け取る木島。
「給湯器は俺が勝ってやるから。な?」
ここでパワーバランスがガンと逆転するわけですよね。身動きが取れなくなっていた木島が、突然再会した城戸に自分の作家人生を委ねる。

しかし木島はファンとか、全部読んでるとか言われるとすぐコロッといってしまうチョロさやばくないですか?かわいい。この不安定さが魔性ってことなんでしょう。おそらく。
ということで、ここで1話が終わり。センセーショナル丸出しの2話に続きます。

いやはやインディゴの気分、一話にして良作でしょ。 超優良作よ。
こんなBLの深みをバチバチに引き出した画期的なドラマがあるということを広めに知らせるためにありがたい地上波。
まずBLとは「男と男が恋愛をしている」という点がベースとしてあるわけですが、それらを映像化するにあたって、その二人の恋愛に付随する環境をどれだけ神経使って描くかがその作品の個性。
大きく言えば作品の全てになりうるのではないか?と私は最近気付きました。やっぱり神は細部に宿る。

例えば同じくフジテレビのノイタミナでアニメ化されたギヴンならばバンドのクオリティや音楽の面がとても大切になってくるし、ポルノグラファー、インディゴの気分なら小説を書くことや創作に対する気持ちをどれだけ突き詰められるかに作品の良さがかかっている。
しかし、そんなに作品性が重要なら別にBLである必要なくない?みたいな話もあると思うんですけど、周囲の環境と、細部が作りこまれていることによってBLの良さであったり、奥行きが見えてくるものが多いんじゃないか。相乗効果。
ポルノグラファーなんかがまさにその奥行き増し増し現象を体現してると思います。すごい。
もし違ったらすみません……素人なので……。

これはインディゴの気分とは関係はないんですけど、このブログを書いていた当時に言及していたので今のnoteでも書いておきます。
ある人に勧められて読んで衝撃を受けたBL漫画がありました。「ボーイミーツマリア」という作品です。
先日、若くして逝去されてしまったPEYO(恵口公生)先生が書かれた作品で、今も何度も読み返しています。読むとビリビリする。凄まじい画力にもストーリーの展開にもセリフにも全部。心血注いで、自らを削りながらも真剣に作り上げた創作だったと思う。
こんなにも尊い作品に出会えたことに感謝します。よろしければ読んでみてください。激アツ。


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