お風呂の原風景

私の記憶にある、子供のころの「お風呂の原風景」。
ルーツ、とでも受け止めてください。

ひとつは「駅前の銭湯」、もうひとつは「祖父お手製の湯舟」。

地元最寄り駅から徒歩すぐのところにある銭湯。
子供のころ、母が連れて行ってくれたのを覚えています。
だだっ広い脱衣場、湯桶が奏でるカポーンという反響する音、
壁越しに聞こえる、おっちゃんの口づさむ演歌(笑)
すべてが新鮮でした。
自宅では考えられないほどの広さの湯舟に大きく足を伸ばし
延々と浸かっていたのを鮮明に覚えています。
偶然、当時習い事をしていた先生と湯舟で鉢合わせになり
ご挨拶をしつつも恥ずかしかったり。
「裸の付き合い」なるものを、かなり早く体験したのだと思います。
そして湯上りに牛乳を飲もうか、コーヒー牛乳にしようか・・・
真剣に悩んだなぁ(笑)とっても重要ですものね。

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私の父方の祖父は「桶屋」さんでした。
ヒノキの木材を使って、桶などを作ることを生業にしていました。
祖父の家に帰省すると、玄関の横に作業場があって
いつもオガクズがいっぱい。
でも、ヒノキのとっっっっってもいい香りがして。
そんな祖父は、お手製の湯舟、バスタブを作って、定期的に我が家に
届けてくれていたのです。
いつも前触れもなく、突然届く湯舟・・・・・
それはそれはびっくりしたものです。
お礼の電話をかけると「そろそろダメになる頃だから取り替えろ」と。
どんなに乾燥させても、少しずつ腐ってきてしまうのが、木製の湯舟。
その替え時を、祖父は見計らってくれていたのだと思います。
今思えば、我が家に初めて届いた「クロネコさん」は、
祖父から送られてきた湯舟でした。
紐やテープで蓋が止められていて、そこに送り状が貼り付けられていたのを
しっかり記憶しています。
今のクロネコさんのレギュレーションでは「貨物便」のサイズですが
できたばかりの宅配便では、まだ湯舟が送れたんですね(笑)
新しい湯舟が届くと、大工だった父の出番。
古い湯舟のタガを外して解体し、運び出したら、新しいものをセットする。
お水を満たしてお湯を沸かせば、カラの時には気が付かなかった、
細かい木くずがいーーーーーーっぱい、浮き出してくる。
だから一回、お湯を捨ててからじゃないと入れない。
とはいえ、二回目も・・・木くずまみれになりながらの入浴。
せっせと手桶で木くずを掬い取りまくる。
それが楽しくて大好きで、この贅沢極まりない「一番風呂」を
子供のころに何度も、堪能していたのです。
今思い返しても、なんという贅沢なことをしていたのでしょう・・・
そのせいか、今でもヒノキの香りのするお風呂が大好きです。

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ここから、私のお風呂好き、オフロライフは始まっていることだけは
きっと間違いないと思います。

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