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2xxx年。 ベーシックインカムが世界中で導入され、人間は金銭のための労働から解放された。 何をせずとも生きていける世の中で、一部の人間は、自分の生きる意味を問い直し、行動した。 起業、慈善活動、創作活動、、、血の通ったそれらの活動は、AIに慣れきった人々を惹きつけ、生活を豊かにした。 そのような社会の流れに合わせるように、公教育も変化した。いわゆる”自分のやりたいこと”を見つけるためのメソッドが授業に導入された。そのため、早くから将来の目標を見つける者が大多数を占めた。
「生きている意味が分からない」 美術部の佐伯夏菜子は醒めた目で言った。 「楽しいことなんて何一つない。絵だって描けない。この先もきっと何もない」 「こんなことならいっそー」 「いっそのこと死んでみるか?」 夏菜子の担任教師である、都倉孝洋は無表情のまま言った。 「良い死に方を教えてやろうか」 2人しかいない放課後の教室。 時計の針の動く音が、かえって静寂を強調する。 夏菜子は目を伏せた。 ーーーーーーーーーーーーーーー 高校から車を走らせて40分。 おもむろに