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遺伝学に激弱な人が解説するモルフ

何か始めようといことで書き出したnote。始めは意気揚々と長文を並べていましたが、だんだんとネタが尽きてきた感があります。ありがたいことにお店も忙しくなったりそうでもなかったりで、気がつけば2023年も終わろうとしていますが、なんとか月1で更新していこうと考えています。

過去の記事を読んでお気づきになった方もいるかも知れませんが、かなり自虐的な内容が多いこのnote。それは私がそういう人間だからということで、今回はタイトルから自虐的なモルフのお話です。

そもそもがモルフとは何か?ですが、ざっくりいうと体色や模様の形質を品種改良していった個体のことを指します(モルフに関しては定義がアイマイミーマイン曖昧なのですがこのような解釈で良いかと思います)。金魚などがこれに当てはまるかと思うのですが、爬虫類飼育の世界でもこのように1種類を交配してモルフを作っていく楽しみ方があります。というか現在ではこちらの方が多いかも知れません。

モルフを語る前に懺悔というか、言い訳をしておくと私はモルフに詳しくありません。それは自然界をパッケージした爬虫類が好きなのであって、品種改良され愛玩動物に成り下がった爬虫類に興味はないという尖った考えモルフというものは遺伝が関わってくるからなのです。そう私は大学で遺伝学の履修を落とすレベルで遺伝が苦手なのです。そもそもが豆のツルツルとシワシワで説明するなよと今でも思っているのですが、そのようなことで特に興味もなく今まで生きてきたのです。しかし店をはじめてモルフというものは避けては通れず、「こんなことになるならあの時あの場所であの本を買っておけばよかったよぉ〜。えーん、えーん(T-T)」という感じで必死に勉強してきたわけです。一見自虐的にみえますが、実は今までの成果をお披露目する非常にポジティブな記事なのです!笑。ということで分からない立場から解説しますので分かりやすくはなっていると思いますが、合っているかは分からないです・・・笑

ポリジェネティック(多因性遺伝)

おそらく一番多く流通しているモルフです。要するに選別交配のことですが、モルフに明るい人は格好つけてポリジェネというので言われた時に理解できた方が良いでしょう。親の特徴が高確率で現れることを指しますが、綺麗な個体同士を掛け合わせた場合でも使われる印象です。綺麗なものにこだわって繁殖されていても模様や色がランダムに出る場合はモルフではなく血統や品種など濁された呼び方をされる傾向にあります。

レオパードゲッコー(Eublepharis macularius)のタンジェリン
オレンジを煮詰めて作出されたポリジェネティックモルフ

劣性遺伝(潜性遺伝)

ここからは本当に苦手な遺伝学のお話です。遺伝はある意味確率のお話なのですが、色々ややこしくそして一番オーソドックスなのがこの劣性遺伝です。最近は劣性は下品ということで潜性と言うようですが、もうややこしいのは懲り懲りということでここでは劣性で通します。劣勢遺伝は遺伝子が二つ合わさって発現する遺伝子で、有名なところではアルビノがあげられます。遺伝子が一つであった場合、体色に変化はありません。これをヘテロと呼びます。そしてヘテロの遺伝子が二つ合わさった個体は体色に変化が見られます。アルビノの場合は黒色の色素がなくなり(または少量)眼が赤くなるといった表現です。これをホモ(結合)と言います。ポリジェネもそうですが、専門用語があると難しく感じます。モルフはこの仕組みを使って品種改良をおこないます。

コーンスネーク(Pantherophis guttatus)のアルビノ

アルビノを例に例えると、1匹のアルビノが出現したとします。アルビノとノーマルの個体を交配するとヘテロが生まれます。ヘテロ同士を掛け合わせると1/4、アルビノと掛け合わせると1/2の確立でアルビノが生まれます。ちなみにアルビノ同士を掛け合わせると100%アルビノが生まれます。
これが大体の品種を固定していく初歩的な段階のお話です。要はホモが増えれば固定は簡単ですということです。ここまでは分かるさ!ツルシワじゃないからね。ということでややこしいのはコンボモルフなのですが、アルビノの他にも劣性遺伝のモルフがありますので紹介します。

ハイポメラニスティック
黒色色素減退。ハイポと言われるモルフです。どの爬虫類でも使われている印象ですが、本当に劣性遺伝なのかは検証してみないと分からないので、単純に見た目だけでつけられている場合も多い印象です。

レッドテグー(Salvator rufescens)のハイポメラニスティックとして流通した個体

アザンティック
黄色色素欠乏

アネリスリスティック
赤色色素欠乏

コンボモルフはこれらを組み合わせて元の色から色を引いていく作業がおこなわれています。ヘテロを採らなければならないので、結果が出るのは何世代か先になり非常に手間がかかります。そのため高額になりますが、ホモ同士だと100%出現するため値崩れも激しい傾向にあります。

レオパードゲッコーのホワイトナイト
ベルアルビノ x ブリザード x エクリプス の三重劣性

優性遺伝(顕性遺伝)

簡単に言えば次世代で特徴が発現するモルフです。こちらもホモとヘテロがありますが、外見では見分けにくいようです。メラニスティック(黒)やザンティック(黄色)など色が増加するものが多い印象です。

共優性遺伝(共顕性遺伝)

ヘテロの段階で体色に変化が現れるモルフ(つまり1/4)です。レオパのマックスノーやクレスのリリーホワイトがこれです。ホモ結合するとさらに体色が変わりこれをスーパー体と呼びます。ホモ結合では致死遺伝のものもあり、スーパー体では生きられない種類も多い印象です。

クレステッドゲッコー(Correlophus ciliattus)のリリーホワイト

これらの物を組み合わせて色々な色や模様のモルフが作出されています。大元は偶発的に出現するため、流通するモルフの多くは累代繁殖が重ねられ飼育しやすい種類が多いです。ただ色素が足りないことなど明らかにノーマルよりは弱い傾向にあることは覚えておいたほうが良いかと思います。

今回は日常の気付きというか業務の苦労で記事を書いてみました。オーバーヒート寸前まで頭をフル回転させて書いたので、今までに比べて文字数は少ないですが1番疲れました。疲れすぎてICONOCLASMが聴こえてきそうな風の表題画像も私の心情かも知れません。30歳を過ぎてから新しいことを覚えづらくなってきたのでこの程度ですが、これが私が約1年間で勉強した全てだと言っても過言ではありません。あえてもう一度書きますが、

本当に合っているかはわかりません・・・笑。

ただ用語やだいたいの仕組みは分かりやすく説明できたと思うので、そのあたりから興味を広げていっていただければ幸いです。

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