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テグーであってテグーでないテグーの話

遂に爬虫類の記事を書かせていただきます・・・笑
記事を書くにあたって、やはり1種類を深掘りしていくのが無難かなと考えました。熟考に熟考を重ね目次までつけて書いた結果、内容は充実したものになったと自負していますが、非常に長くなってしまいました・・・笑
そんな処女作?デビュー作?はテグーについてです。人気のあるトカゲなのですが、本当はそうでもない?というか、あまり知られていないことも多いトカゲかなと思いますので、こちらで紹介いたします。なお解説のため写真を使用していますが、完全な自主制作のため写真がなかったり、クオリティがお粗末だったりします。また手元の参考文献などで事実を基に考察をしていますが、論文を読んでいる訳ではないので(英語読めないし・・・)誤った事実や情報が古い可能性がない訳ではないというところで、この記事もまた1つの情報や意見として受け取っていただければと思います。

プロローグ

よく考えれば上がプロローグ・・・笑
であるが、使ってみたかったのでもう少し述べていこうと思う。論文を読んでいないとか言っていたくせに、こういう記事は”である調”になる。

テグーと聞いて爬虫類に明るい者でなければ、ピンとくる者も少ないだろう。もしピンときた者の多くは、チリ原産の齧歯類を想像したのではないかと考える。テグーもまた南米原産の大型のトカゲなのであるが、一般的な知名度はコモドドラゴン(Varanus komodoensis)に代表されるオオトカゲ科(Varanidae)やグリーンイグアナ(Iguana iguana)に代表されるイグアナ科(Iguanidae)と比べると恐ろしく低い。実際、一般社会でテグーを説明することに困る場面は多い。一般社会でテグーを説明する場面とはなんだ?という意見もあるかと思うが、爬虫類に興味がなくても、爬虫類を飼っている人に興味がある人は意外と多い。「何を飼っているんですか?」と聞かれテグーと答えて伝わった試しがない。なので”デカいトカゲ”などと答えるのであるが、イグアナですか?などと返ってくるので、正直にいうと非常に面倒臭い状況になってしまうのである。
そんなテグーでも爬虫類飼育の世界では超人気種!モニター(Monitor Lizard,オオトカゲ科の通称)と双璧の王道の大型トカゲなのである。と思っていたのであるが、どうやらモニターとは陰と陽の関係。実際の人気や飼育者の数はそうでもないのではないかと思い出した今日この頃である。
このように書くとネガティブキャンペーンのように受け取られるかもしれない。しかし、勘のいい人なら分かっていただけると思うが、私は無類のテグー好きである。My Favorite Lizard いや Reptile と言っても過言ではない。そんなイグアナでもないモニターでもないテグーという種類のトカゲについて述べていく。

テグーという動物

”テグー”とは南米に生息する最大140cmほどの肉食または雑食性の陸生のトカゲで、テユー科(Teiidae) テグー属(Tupinambis)の総称である。”テグー”とは現地の言葉のようであるが、英名でも和名でも”テグー”であってテグートカゲとは言わない(かなり古い文献で見たことがない訳ではないが)。まずこの◯◯トカゲとつかないところにロイヤリティと愛着を感じるのであるが、テユー科にはアミーバであったりそのような類のものが多く、非常にマイナーなグループのため、和名をつけることをサボっただけなのではないかと考える。

ざっくり系統樹

そもそもテユー科ってなんだよと思われる方も多いだろう。テユー科はカナヘビ科(Lacertidae)らとともにカナヘビ下目(Lacertoidea)を形成しているグループである。比較的小型の種類が多くそのほとんどがTeiinae亜科、中型の2種がCallopistinae亜科、テグーなど一部の大型の種類がTupinambinae亜科に分類される。カナヘビに近縁のため似た様な容姿の種類も多い。一昔前はカナヘビ上科などと言われカナヘビ科主体のグループという説明で問題の無い内容の分類であった。しかし近年ではテユー上科からの派生である分類に変わったり、ミミズトカゲ(Amphisbaenia)が入ってきたりなど、カナヘビ下目は大所帯になってしまった。カナヘビ下目を説明すには、かなりマニアックかつややこしい分類学の話になってしまうので、ここではテユー科はカナヘビ科に近く、大・中・小のグループに分かれているという事だけ覚えていただければ大丈夫である。このようにテグーはカナヘビに近縁であり、特に幼体の頃はカナヘビにかなり近い容姿をしている。そのためテグーを説明する際に「デカいカナヘビです」と答えることもあるのだが、カナヘビ自体が日本に生息しているというアドバンテージを生かしきれていななためピンとこないことも多い。

レッドテグーの幼体

このようにテユー科は小型な種類が多いグループである。これといった特徴がない種類も多いため、同じような形態をしているカナヘビに取るに足らないところからも知名度の低さがうかがえる(もちろんテユーにはテユーの魅力があるので興味がある方は是非調べていただきたい)。そんなマイナーグループの中にあって一線を画す知名度があるのが、テグーを含むTupinambinae亜科である(むしろ浮いている)。テグーの他にカイマントカゲ(Dracaena)が属するグループであるが、150種ほどが所属するテユー科においてTupinambinae亜科は10種ほどである。テユー科はおろかカナヘビ下目をみても非常に大型になるのが特徴であるが、これは新大陸の南米にモニターのような肉食の大型トカゲが生息していないため、モニターのニッチを得た一種の収斂進化のようなものであると言われている。ここでもまた、というかここからモニターとテグーの因縁は始まっているのである。

ギアナカイマントカゲ (Dracaena guianensis)
キノボリカンガルーのような顔をしている。

やはり何事も比較対象となるモニターであるが、オオトカゲ科はアジア・オセアニア・アフリカなどの旧大陸に84種が生息するグループである。ヘビの祖先はこのグループから別れたとされヘビ類に近縁である。実際、体が柔らかかったりとヘビに似ている節も見受けられるが、それ以上に場合によってはヘビに進化してやろうと企んでいる傾向を感じられるような種類である。例えばテグーより遥に巨大になる種類がいたり、海を泳いで渡ってみたり、毒があったり、単為生殖が確認されたりと多様性があり、こちらはトカゲ亜目の中で一線を画す存在であるのではないかと考える。このようにテグーは容姿や生態がモニターに似ているに過ぎない"デカいカナヘビ”である。

モニターは身体が柔らかい

そもそもが分類学は人間が決めた線引きに過ぎず、種に優劣もないのであるが、次はそんな人間との関係について述べる。デカいカナヘビがモニターという巨大組織に挑む物語である(嘘である)。

テグーと人間

日本でのテグーの飼育の歴史は意外と長く、古い文献でも度々散見される。
肝心な書籍が手元にないのだが、高田榮一氏の著書の恐らく「蛇・トカゲ・亀・ワニ よみもの動物記」(1971,北隆舘) 、もしくは「爬虫類の超能力」(1986,講談社)にテグーの飼育について記されている。15年の差は非常に大きい(笑)。 だが1986年でさえ、まだ紫外線灯や冷凍マウスがなかった時代であることは間違いない。このように私の記憶が定かではないのであるが、鶏卵を与え非常に嗜好性が高いということが書かれていたことは鮮明に覚えている。実際に飼育下での卵に対する嗜好性は抜群であり、野生下でも鳥の巣を襲うことや卵を食すことが書かれていることが多い。
動物図鑑や飼育書でもテグーが紹介されているが、1990年代くらいまでは単にテグーと紹介されることが多く、学名もTupinambis teguixinであった。1996年にピーシーズ社から発刊された「爬虫類・両生類800種類図鑑」はトカゲ、ヘビ、カメはもちろんワニや毒蛇などほとんどの爬虫類がカラー写真で紹介されている素晴らしい図鑑である。そのような中、テグーはteguixinのみで、写真はレッドテグーの幼体であった。ちなみにテユー科の掲載もテグーのみである。当時のテグーの知名度が分かるものとして紹介させていただいたが、図鑑自体は野生個体を中心とした写真が素晴らしく、いまでは珍しい種類も沢山載っているので、手に取る機会があれば是非見てほしい。おそらく載っけていただけただけありがたかったのである。
このことからも当時流通していた個体の多くが、ゴールデンテグーという流通名に代表されるノーザンブラックアンドホワイトテグー(Tupinambis teguixin)であったと考えられる。ノーザンブラックアンドホワイトテグー(以下、ノーザン)は最大でも全長100cmほどのテグーである。後述する2種と比べると小型で体型もスリムで鱗に光沢感があることから、容易に区別ができる。また荒い性質や神経質な個体が多いことや低温や乾燥に弱いことが挙げられるが、一昔前の文献ではテグーにはこの様な文言が書かれていることも多く、このことからもノーザンを指していることが分かる。野生個体の流通が主であった当時(本種に関しては今もであるが)では、テグーの中でも安価で流通量も多かった本種の情報しかなっかのだろう。現在流通しているものはゴールデンテグーと呼ばれる体色が黄色と黒ものがほとんどである。今では全くと言って良いほど見かけることはないが、白と黒のものも流通しておりこれがテグーの分類に混乱を招いていた様である。
サウザンブラックアンドホワイトテグー(Tupinambis merianae)は北と南という名前からも分かるように、ノーザンとは対になって語られることが多いテグーである。これは本種の体色が白と黒で、上に述べた白と黒のノーザンと混同されていたからであり、昔はどちらもバンデットテグーとして流通していたようである。この2種は頬板が1枚か2枚かの違いが相違点として挙げられることが多いが、正直、みれば分かる(笑)。一応、補足をすると当時はフルアダルトのテグーをみる機会があまりなかったこと。テグーの幼体は生体とは印象が違うため、見分けるのがことが難しかったこと(ちなみにサウザンの幼体は黒ボディで頭が緑である)。単純に皆がテグーに興味がなかったため、色でしか判断していなかったことなどが要因として挙げられる。これらの多くは当時の文献や体験などを基にした私の憶測であるが、現在の命名が過去の混同の名残であることは間違いない。

レッドテグーの頬板


今も昔も変わらない人気を誇るのが、写真で度々登場しているレッドテグー(Tupinambis rufescens)である。こんなに真っ赤で大きなトカゲが人気が出ない訳がなく、私もそれに魅了された者の一人である。本種は昔から区別されていたようで、文献でもteguixinの中でではあるが真っ赤な個体の写真が掲載されていたりした。やはり色である。このように古くから流通していたが、価格が高価で飼育頭数も少なかったためか、レッドテグーとして専門書で目にするようになるのは2000年代に入ってからが多い。どちらかというとサウザンと対として語られるべきなのは本種であり、現在はそのように理解されている。どちらも体型がガッシリしておりガタイが良いという表現がピッタリくる。このため同じ長さのノーザンやモニターと比べると横に大きく体重もあり大きく見える。レッドとサウザンの違いはやはり色である(笑)と言ってしまえば元も子もないのであるが、顔がレッドの方が面長でサウザンの方が寸詰まりで鼻太な印象である。これらの特徴は雌雄や地域個体でも変わってくるのであるが、顔を見れば全体的な印象で違いを掴めることができる。結局は顔である。
現在ではレッドやサウザンは繁殖個体が多数流通するようになり、多少の価格変動はあるが一般家庭でも手の届く価格帯になり飼育者数も増えた。飼育書や図鑑でも区別されるようになった。ノーザンの流通量が減ったということもあるが、昔と変わらず赤い個体が重宝されるレッドと、地域個体での色彩のバリエーションがありブルーテグーやアルビノの登場で高級路線にまで進出してきたサウザンの2種がテグーとして語られることが多くなった。そう、テグーといえばこの2種であり、私が言っているのもこの2種である。現在では「私、テグー飼ってるんだけどさぁ」と言ってゴールデンテグーを想像する人はまずいないのである(笑)。

テグーの再分類

そんなテグー界(そんなものはない)に大事件が起こった。上記にも記したカナヘビ下目の再分類同様にテグーも再分類がおこなわれ、これによりノーザンとレッド、サウザンが別のグループになったのである。このことに関しては事件でも何でもなく「そりゃ違うよね。前から思ってた流石オレ!」という考えなのであるが・・・。問題はノーザン含む4種がテグー属(Tupinambis)に残り、レッド、サウザンが新設されたSalvator属になってしまったことである。そう、今まで我々がテグーであると思っていた存在が、事実上テグーでは無くなってしまったのである。「お前が残るんかい!」と思われた方も多いと考えるが、分類学は先に記載された方が優先されるため(ノーザンの記載はなんと1758年)仕方のない話である。脱退した人気メンバーが移籍先に行こうが、レーベルに残った方が優先されるみたいな話であるが、少し違うのとよく分からなくなるので忘れて大丈夫である。

改訂版 ざっくり系統樹

このような大事件が起こり、爬虫類飼育の世界でも大激震が走った!のかと言われればそうでもないようで、意外と知らない人も多い。もしかしたら"テグー"という名前に拘っていたのは私だけだったのかも知れない・・・笑。
というわけでテグーはテグーではなくSalvatorになってしまった。それに伴い上記で使用している学名は旧学名になるのでご了承願いたい。
それにしても新学名がサルバトールになるとはである。サルバトールとはミズオオトカゲ(Varanus salvator)の種小名でもあり、サルバトールモニターと呼ばれることもあるので聞き馴染みのある人も多いのではないかと考える。よりにもよってモニターの中でも人気の種と同じ名前になってしまうとは。新しい名前がサルバトールリザードでは二番煎じも良いところである。ここでもモニターとの因縁が・・・。
ちなみに私は少年時代、例によってレッドテグーは高くて買えなかったため、手の届くゴールデンテグーを買おうとしたが、直前で心変わりをしてミズオオトカゲを買った過去がある・・・笑

ミズオオトカゲの幼体。
ダイノボットみたいである。

Salvator属

「私は元テグー。名前はまだない。」ということで実際にはSalvatorという名前があるのであるが、和名で新しい名前が付けられたわけでもなく、今まで通りテグーと呼ばれているので、こちらでも変わらずテグーと呼称する。
ここではそんなSalvator属のテグーを改めて個別に紹介していく。共通の認識として頬板は2つ(新テグー属は1つ)。大型になるが大人しい個体が多い。成熟した♂は喉元が肥大しコブのようになる。幼体時には臆病な個体や攻撃的な個体もいる(これは地域性によるものが大きのではないかと考える)が、触っていればほぼ間違いなく大人しくなる。逆に野生収集個体のアダルト個体でも大人しい個体を目にした印象が強い。このことから競合するものや天敵のようなものがあまりいない環境なのではないかと考える。また耐寒性があり冬眠ができる(南半球は北に行くほど暖かい)。一説によれば体温調節機能があり、体温が15℃以下には下がらないようである(本当に?笑)。ここがモニターや他のトカゲにはない特殊な機能で、テグーがニッチを得るために独自の進化を遂げてきたことが窺える。やればできる子!やはりただのデカいカナヘビではないのである。

レッドテグー (Salvator rufescens)

レッドテグー♂のフルアダルト個体。
入っているケースの長さが75cmである。フルアダルトの写真はこの個体のものしかないため、どの種も大体このくらいになると考えていただきたい。

主な分布はアルゼンチンとパラグアイ。そのほかボリビアやブラジルにも生息しているようである。現在はあまり使われない傾向にあるようであるが、かつてはアルゼンチンレッドテグー、パラグアイレッドテグーとして流通していた。そのほとんどがアルゼンチンであり、単にレッドテグーとして流通している個体はアルゼンチンの可能性が高い。両種の違いは顔付きや発色の違いなどがあるようだが、パラグアイのアダルト個体を見たことがないため何とも言えない。もっともアルゼンチンでも顔付きや発色に個体差が見られる。基本色は赤と黒。幼体時の体色は白いが成長とともに赤くなる。個体によって赤の比率や濃さが異なる。

レッドテグーは特にコブが肥大する。
赤味の強い♂個体


サウザンブラックアンドホワイトテグー (Salvator merianae)

アルゼンチンブラックアンドホワイトテグー
おそらく♀個体

分布はアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル。基本色は名前の通り黒と白で腹部がオレンジ。流通量がもっとも多いものはアルゼンチンブラックアンドホワイトテグーと呼ばれる黒の面積が多い個体である。そのほか白の面積が多いものや、腹部のオレンジが体表にまで侵食しているもの、より大きくなるとされる"チャコジャイアント"などバラエティーに富んでいる。

ブルーテグー

そしておそらく一番有名なのがブルーテグーである。ブルーテグーもまたサウザンの地域個体群であるが、はっきりと区別されている。また1番初めにコロンビアから輸出されたため、コロンビア産だと考えられていたり、何処かの小さな島に分布しているといった薄らとした情報しかない謎のテグーでもある。名前の由来のブルーは光の加減や、ある条件下で写真に収めるとブルーに見えたためであると言われている。なので実際は青くなく白と黒であるが、そんなことどうでも良いほど発色とコントラストが美しい。白の発色の強い他のサウザンと見分ける方法として、鼻先が黒くなることが挙げられるが、眼の下にアイラインのような黒い線も入るので、そちらも確認したい。アルビノが確認され流通しているのも本種である。

鼻先と目の下が黒い

イエローテグー (Salvator duseni)
分布はブラジルとパラグアイ。国内未流通の幻の第三のテグーである。
例によってガタイが良く、特に成熟したオスの顔はレッドテグーに近い印象がある。下地は黄色で模様は黒、顔から背中にかけて赤やオレンジの発色が上から乗り、鼻先が黒と他のテグーの特徴を混ぜ合わせて上手くまとめられなかったような形態をしている。写真がないためぜひ学名か旧学名で検索してみていただきたい。現地の個体の写真を見ることができる。またその写真の多くが赤土であることからも、テグーの派手な体色が保護色であることが分かる。

ペットとしてのテグー

爬虫類を飼育する上で、触れるか触れないかの違いは大きいものである。爬虫類飼育は鑑賞と愛でることの両方の側面を持つと考えるが、鑑賞に重きを置いたとしても世話の時に触れないと大変不便である。爬虫類は単独行動なため、懐くといった概念がない動物であると考えている(一部のつがいや群れで生活するものはその類ではない可能性もある)。しかし慣れさせることは可能である。個体によって程度はあるが人に慣れることや、人の環境に慣れることは可能である。そのため触れていれば、大人しくなる場合も多い(中にはどうしようもないものもいるが)。テグーに関しては上記でも触れたが(掛けたわけではない)、大人しく性格も良いため非常にペット向きのトカゲである。幼体の頃から大人しい個体も多いのであるが、中には神経質や攻撃的な個体もいる。ほとんどがバタついたり暴れたりする個体で、持ってしまえば大人しい傾向にある。たまに持っても口を開けてくるような個体もいるのであるが、恐らく捕獲された際などにトラウマを植え付けられた可能性が高いので、そのような個体はしっかりケアをしたほうが良い。そのまま大きくなったら手が付けられなくなるからである。そのような個体もいるが、特に繁殖個体は基本的には何もしなくても大人しく育つ個体が多い印象である。ただし、テグーは頭が悪いわけではないのであるが、良くも悪くも1つの事しか考えられない印象がある。特に食に関しては貪欲のため餌でなくてもそれっぽいもの(例えば手)には突っ込んでくる。持ってしまえば食のことは忘れてくれるため、背中を触るなどして餌でないと気づく瞬間を作ることが大切である。ちなみにモニターに関しては種類が多いので性格に関しては一概には言えないが、テグーより頭が良いと感じることは多い・・・笑

このように大人しく持たせてくれる個体が多い。
1人での撮影のためこのように持ってはいるが、1点に体重がかかり過ぎて負担をかけているため適切な持ち方ではない。ちなみに片手ではかなり重い。
テグーの前足

このことからテグーは非常にペット向きなトカゲと言えるのではないだろうか。重量感のある全体像は格好良く、大きな頭と短い手足が非常に可愛い。そして慣れることも多い。つまりテグーは格好良さと可愛さを併せ持つハイブリッドペットリザードと言っても過言ではないのである。と何を言っているのか分からないが、やはりペットとして無視しできないのがその大きさである。上記のように慣れてくれるため、大きさの割には扱いやすいく愛着も湧きやすいだろう。むしろ大きい方が何かあった時に捕まえやすい可能性もある(笑)。恐らくテグーの飼育者数が増えない要因は不人気ではなく飼育スペースの関係によるところが大きい(モニターも・・・笑)。最低でも四方へ身体が伸ばせるくらいのスペースはあったほうが良いだろう。一応、爬虫類飼育用のケージが販売されており、市販品もしくはセミオーダー品で購入できるサイズである。もしテグーが飼いたいと思えば作れないスペースではないはずだ。その先には素敵なテグーライフが待っている。

大きな頭と短い足が可愛いが
全体で見ると格好良い爬虫類である。

最後に、散々比較してきたモニターであるが、結局は好みである・・・笑
テグーにはテグーの良さ、モニターにはモニターの良さがある。形態や飼育方法が似ているため対や仲間として語られることも多いが、2種の関係については述べてきた通りなので理解していただけただろう。モニター側からの視点で述べられたものが多いため今回はテグー側の視点で述べてみた。最後にペット的観点からの形態的な印象の話をするとモニターはシャープでテグーはずんぐりとしている。これが好みの分かれる一番の要因なのではないかと考える。ずんぐり好きのモニターファンの方にもテグーの良さを認識していただけたら嬉しい。

エピローグ

最後まで読んでいただきありがとうございます。
ゲシュタルト崩壊するくらい長々とテグーと書いて述べてきましたが、理解は深まりましたでしょうか。もし興味が湧いていただけたのであれば非常に嬉しいですし、地球の裏側にこのようなトカゲが生息していることを知っていただけるだけで幸いです。

肝心の飼育方法ですが

購入を検討するお店で聞いてください・・・笑

責任転嫁と言えばそれまでなのですが(笑)。
飼育は要点やコツなどはあると思いますが、これが正解ということが明確にあるわけではありません。特にテグーの飼育は難しいことはないので、購入するテグーがいる環境を知っているお店の方に聞いていただくのが1番良いかと思います。この記事でも飼育に関することに触れていないわけではないので参考になるかと思います。ただ、要点やコツを書くのが飼育方法だろ!とも思いますので、もしかしたら何かの機会にまた記事にするかもしれません。

参考文献

小島 健太郎 2002 『aLiVe MOOK』
2021 『ビバリウムガイド No.92』 エムピージェー
マーク・オシー 2021 『トカゲ大全』 エムピージェー
海老沼 剛 2004 『爬虫・両生類ビジュアルガイド』 誠文堂新光社 
富田 京一 2000 『ザ・爬虫類&両生類』 誠文堂新光社
R.J SPRACKLAND 1992 『GIANT LIZARDS』 T.F.H

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