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【vol.1】Gaudiyへ出資した理由​​ 「これからはテクノロジーのプロデューサーが必要」

Bandai Namco Entertainment 021 Fundは、今年6月にブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開する株式会社Gaudiyに出資を行いました。

同月、バンダイナムコグループ各社へGaudiyを紹介するために、バンダイナムコエンターテインメント 代表取締役宮河とGaudiy CEO石川さんのお二人をお招きし、「Web3.0」や「ファンコミュニティ」をテーマに対談を行いました。

今回は配信番組の対談内容を一部抜粋して、公開いたします。
全3回に分けて「Gaudiyへ出資した理由」「エンターテインメントにおけるWeb3.0の考え方」「目指したい理想のファンコミュニティの姿」の3テーマの対談内容を公開いたしますので、ぜひご一読ください。

風間
Bandai Namco Entertainment 021 Fundを今年4月12日に立ち上げてから2ヶ月弱、6月1日にGaudiyさんへの出資を発表いたしました。

この機会にまずは、Gaudiyさんへ出資を行った背景について伺っていきたいと考えています。宮河さんはGaudiyさんのどこに魅力を感じて、今回の投資を判断されたのでしょうか。

宮河
石川さんから会社説明を受けた際にGaudiyさんのミッション「ファンと共に、時代を進める。」の紹介があって、すごいなと感じました。あの言葉は今年バンダイナムコグループが制定した中期ビジョンの「Connect with Fans」とほぼ一緒なんです。ファンとつながる、ファンとともに何か創っていこうという意味です。

僕は1年半ぐらい前から、IPを軸にして、バンダイナムコとして権利が保全された環境で、ファンと自由に何か創っていきたいという考えを持っていました。ファンが1つの空間に集まって、その空間でどのように暮らしていくのかというイメージを少しずつ議論して膨らませていたんです。そんな時に021 Fundが石川さんをピッチプレゼンに連れてきたんです。

石川さんから会社の説明を聞いていると、僕が目指しているビジョンと彼らが目指しているビジョンが全く一緒だったんです。Gaudiyさんも「ファンと一緒に何かを進めようよ」と話をしていて、バンダイナムコと同じように構想の真ん中にIPが存在していることが分かりました。

風間
ビジョンの一致が一番大きなポイントだったのですね。

宮河
そうなんです。
また、過去にも石川さんのような技術の専門家と話をすることがありましたが、どうしても技術の話が先行してしまう場合が多いと感じていました。でも、石川さんはIPが好きだという話から始まったんです。

技術の話は、すごく重要なことなのですが、技術者の中でもIPやエンタメが好きな人と組みたいと感じていました。その点、石川さんのプレゼンを聞いていて、IPを中心に据えながらワールドワイドにどうやって挑んでいくのかということを一緒に考えられる会社だと感じられたんです。それで、すぐに出資しようと決めました。

風間
当時の投資委員会は私も参加していました。
確かに石川さんのプレゼンが非常に刺さっているような雰囲気を感じましたね。

せっかくですので、石川さんにもお伺いしたいのですが、石川さんが技術ではなくIPに寄ったお話しされたことには、何か理由があるんですか。

石川さん
そうですね。
そもそも根本的にエンタメがめちゃくちゃ好きでした。

宮河
最初に好きになったエンタメはなんですか。

石川さん
ジャンプ系の作品は好きでしたね。あと、ゲームもすごく好きでした。
僕はエンジニアなので、エンジニア的な視点でアーキテクチャを見るのがすごく好きなんです。なので、世の中のゴチャっとしている、本質じゃないものが嫌いなんです。

例えば、僕達はYouTubeを見ているわけではなくて、中のコンテンツを見ているわけですから、コンテンツを作っている人たちが一番偉い人だと思うんです。なので、僕はコンテンツを作っている人たちがより報われる構造を作りたい。そうすると、コンテンツを作る人になりたいと思ってくれる人が増えて、楽しいコンテンツが増える。それが僕の一番したいことです。

以前「コンテンツを作れる人が羨ましいんですよね」と宮河さんにお話したこともありましたが、僕にはコンテンツを作ることはできないんですよね。逆に僕ができることは、例えばプラットフォームに搾取されてしまう構造とか、データが全部取られてしまう構造とか、そういった構造を変えるということ。他にも「こういったことがやりたいんだけど、テクノロジーがなくてできない」というのを実現することだと考えています。

コンテンツを作る人たちが持っている「これをやりたい」という気持ちを汲んで、彼らを騙そうとする人を退けて、面白いコンテンツをたくさん世の中に溢れさせるために試行錯誤することがやりたかった。だからこそ、宮河さんからガンダムメタバースの構想をお伺いして、それを実現する立場として、後ろから何か助力できればなと感じました。

宮河
今の話を聞いて驚いたんですが、石川さんは完璧にプロデューサー発想しているんです。そして、プロデューサーはこれから2種類必要なんじゃないかと感じました。僕もプロデューサーとして、クリエイターと一緒にモノを作っています。クリエイターの気持ちを汲んで、お金を集めてきて、映像や音楽の形で世の中に届けているプロデューサーです。

でも、もう一人。これからはテクノロジーのプロデューサーがきっと必要なんだと感じました。2種類のプロデューサーとして僕たちが手を組んでクリエイターと一緒に何かを作って、それをテクノロジーにどう乗せるかを考える。そのビジョンがはっきりと見えてきました。

風間
先ほど、石川さんはコンテンツを作る方々をリスペクトしているというお話をいただきました。私たち021Fundを出資元として、パートナーとして選んでいただいた理由もそこにあるということなのですね。

石川さん
「選んでいただいた」なんて、そんな。
そうですね、おっしゃる通りです。コンテンツを作れる方々に対してのリスペクトがあるということもそうですし、僕がお会いしたバンダイナムコの方々が「どうやったらファンをワクワクさせられるか」とか「どうやったら面白いコンテンツになるか」という考えからお話を始めていたことです。

そういった考えから入っていくことが僕にとってはすごく居心地が良かったんです。プラットフォームを作ろうとしている方々は「手数料がいくらで~」といったお金のお話から入ることが多いんですが、バンダイナムコさんはそうじゃなかった。

僕はお金にそんなに興味がなくて、お金は手段だと思っているんです。お金を使って面白いコンテンツを作ろうという議論をする時の「思想」のような部分が合っていて、僕としてはすごくやりやすいですし、勉強になることも多かったのも理由の1つです。

宮河
お金はもちろん、手段としては絶対必要なんです。血液みたいなものですから。でもエンターテインメントにおいては目的じゃないと考えています。「良いものを作ろう」とか「新しいもの作ろう」、「みんなが喜ぶものを作ろう」ということが目的だと意識することはすごく重要ですよね。

石川さん
その考え方をお会いする皆さんがやっていたので、すごいなと思っています。

第2回 「エンターテインメントにおけるWeb3.0の考え方」は下から!

■「Bandai Namco Entertainment 021 Fund」概要

  • 主な投資対象
    国内外のブロックチェーン、VR/AR/xR、AIなどの技術を活用したエンターテインメントに関連するプロダクトやサービスの提供、また、メタバース、Web3.0関連の事業を行うスタートアップ企業など

  • 投資対象ステージ
    プレシードからレイターステージまでの幅広い成長ステージの企業を対象

  • 投資規模
    年間10億円(3年間で30億円)程度の出資を想定

  • チケットサイズ
    数千万円~5億円

  • 公式ホームページ
    https://021fund.bn-ent.net/(日本語)
    https://021fund.bn-ent.net/en/(英語)