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英語はなぜ難しいか?    (「話せる」とはどういうことか?)

 多くの日本人が一度は憧れるであろう、「英語ペラペラ(私自身がまだペラペだが😅)」。そこを目指して英語の音声を練習する、「英語はなぜ難しいか? 音声編」。今回は読者の皆さんの最大の関心事である(多分)、「英語を話せる」とはどういうことかを考察する。

 本シリーズの読者の皆さんは、徐々に英語の音声に耳・口が慣れてきている(該当しない人は練習あるのみ‼️)ことと思う。少しずつではあるが、「自分の意思を英語で伝える」こともできるようになっているだろう。

 すると、ふとこんな疑問が湧く。「私は英語が話せるのだろうか?」。

 本記事は、そんな貴方の疑問に答えるものになっている(ハズ)。いつも通り、本記事の要約をしておく。

ある言語を用いるかどうかは、能力の問題ではなく、意識と習慣の問題である。「英語を話す」とは、「英語を話そうと思える」ことである。出川哲郎さんのような特殊なケースを除いて、「話そうと思える」ためには「correct pronunciation」を身につける必要がある。「話すために学ぶ」のではなく、「話すところから始める」が、言語習得として自然な過程だ。英語を「言語」として使いこなすようになれば、無用な白人コンプレックスなどは消えてしまう。言語の習熟度は人それぞれであり、「英語ペラペラだから◯◯」などという定式化はできないのである。


 Then, let's get started.


①英語を話せますか?
  

 突然ですが、「英語を話せますか?」を英語で言うとどうなるか、ご存知だろうか?
 ちなみに、15ヵ国語を「口から出せる」私 ↓ が、各言語の表現を覚える際に優先的に学ぶフレーズだ。各言語でこれ以上会話が続けられない場合は、世界共通言語(笑)である英語に切り替える必要があるからだ。


 話が逸れた。「英語を話せますか?」は、英語で何と言うのだろう?


 正解は、「Do you speak English?」だ。まあ、ほとんどの人が正解できただろう。

 注意したいのは、「Can you speak English?」ではないということだ。「〜できる」だから「can」を用いると思った貴方。あるいは、「Can you speak English?」でないことは知っていたが、なぜなのかまでは理解していなかった貴方。本記事はそんな貴方のためにある。


②「話す」は技術の問題なのか?

 なぜ、「Can you speak English?」とは言わないのだろうか?
 
 私がEnglish speakerとして覚醒してから1年が経とうとしているが、改めてこの問題を考えてみたい。「英語を話す」ことへのヒントが、この問題に隠されているように思うからだ。


 私の答えは、「言語を話す」ことは技術や能力の問題ではないから、である。

 日本人はしばしば、「英語を話せる」「話せるようになりたい」という言い方をする。その背景には、英語という「技術」を習得する(したい)という前提がある。私自身も長らくそうだった。
 だが、実際に「話せる」ようになった人間に言わせると、「I just wanna speak English.」であり、話したいから話しているだけのことだ。

 そう、ある言語を用いるかどうかは、単なる本人の意識・好みの問題である。それ以上でもそれ以下でもない。
 もちろん、長い時間と練習が必要ではあるが、できるか否かではなく、するか(しようとするか)否かが重要なのである。

 私は、「英語はなぜ難しいか? 音声編」を通じて、マインドセットの重要性を繰り返してきた。言語学習における、究極のマインドセット。それは、「その言語を使いたいと思う」ことである。

 思い出してほしい。初めて英語に触れた中学1年生(オジサン世代の話である😝)の頃の自分を。英語をペラペラと使いこなす姿を想像(妄想)し、希望に満ち溢れていたのではないか? もちろん、私のことである。

 だが、しばらく「英語の授業」を受けているうちに、徐々に分からないこと・できないことが増えてくる。テストで点が取れない、単語を覚えられない、文法を理解できないetc。
 そのうち、「英語は難しい」という意識が刷り込まれ、英語から遠ざかるようになる。言語習得において最も重要なことは、その言語に触れ続けることなのに😱。
 貴方も経験したことがあるだろう。そう、「英語を使いたい」という感情は、「科目としての英語が難しい」という実感に取って代わられるのである。


③話してるよね?

 「Can you speak English?」はなぜ不自然なのか(「失礼だ」という視点は置いておくとして)? この問題を別の角度から考察しよう。

 「英語を話せません」を英語では何と言うか? について考えてみる。

 「I can't speak English.」ではないことは、ここまでの話の流れから分かるだろう。
 では、なぜこの表現を使わないのだろうか?
 分かりやすく解説した動画 ↓ を見つけたので、紹介する。


 いかがだったろう?

 要するに、「I can't speak English.」というフレーズを口にしていること自体、「I speak English.」であり、「いや、話しているよね?」という反応につながるということだ。
 言われてみれば、当たり前のことだ。


 では、なぜ日本社会では「英語を話せない」という表現を用いるのか? 言い換えれば、「話せない」と口にしている時の日本人の心理とは、どのようなものなのだろうか?

 この点については、様々な動画・記事で説明されている。私も自身の経験から、似たようなことを考えている。大きくまとめると、

・日本人のもつ「完璧主義」。「話せる」と言うからには、ペラペラでなければいけないと(何となく)思っている

・そもそも、英語を「話す」という意識・習慣自体が無いor弱い。「話す」ことを「英語の勉強」とは別問題だと捉えている(「聞く」の方は、共通テストなどの影響もあり、意識が変わりつつある)

 の2点だ。多くの日本人にあてはまる心理だと思う。もちろん、私も当てはまりまくりだ😝。


 ここに、私オリジナルの視点を追加すると、

・自分の発している「音声」が、明らかにヨーロッパ言語のものと異なっていると(無意識のうちに)感じている

 ことが挙げられる。相手が発している言語と明らかに異なる「何か」を、相手にぶつけようとは思えない。これは極めて健全な態度である。相手を思いやる、日本人的な姿勢と言えるだろう。


④話しかけるために必要なもの
 

 だが、上記の姿勢は、裏を返せば「未知の相手に話しかける勇気がない」ということでもある。

 「未知の相手と英語でコミュニケーションをとる」というと、よく引き合いに出されるのが、お笑い芸人である出川哲郎さん ↓ だ。

 爆笑🤣🤣🤣。

 正直なところ、以前の私はこのテの番組に否定的だった。「そんなんだから、日本人がバカにされるんだよ!😡😡」と思っていた。
 
 だが、English speakerとして「自分が出川さんに話かけられている」場面を想像すると、少しも嫌な気がしない。むしろ、「What do you wanna know? I would like to help you.」とか言いそうだなぁ〜と感じていたら、動画の中の人も似たようなことを言っていた(7:40辺り)😊。

 相手にこう思わせるのが「コミュニケーション」であり、出川さんはコミュニケーションの達人だと思う。
 そして、全ては出川さんがEnglish speakerに語りかけるところから始まっているのである。

 会話とは互いに言葉をぶつけ合うことだ。その初手が(心理的に)封じられていては、文字通り「話が始まらない」。
 私は以前の記事 ↓ で、「会話以前の問題が横たわっている」と書いた。

 そして、会話が成立するためには、「何かを共有している必要がある。ほとんどのケースで、共有しているべきは音」とも書いた ↓ 。


 出川さんの「英語」は、「音を共有している」とは到底言い難い。だが、「何かを共有しようとしている」ことは画面越しにも伝わってくる。貴方にも出川さんのようなメンタルがあれば、メンドーな発音練習など不要なのである🤗。



⑤なぜ発音練習するか?

 とは言うものの、やはり出川さんのようなメンタルの持ち主は少数派だろう。少なくとも、私には真似できない。

 そこで必要になるのが、毎度おなじみの「correct pronunciation」だ。簡単に言えば、「この音ならば間違いなく相手と共有できる」という音声だ。
 言い換えれば、「この音ならば相手にぶつけても大丈夫だろう」と話し手側が安心できる音を身につけることが重要なのである。
 私は、ここまでの記事で、「言語習得は音声から」「speaking・listeningは発音練習から」と繰り返し述べてきた。「相手に通じない(=同じ言語だと思えない)から」という理由は何度か挙げたが、今回は視点を変えて、「自分が出そうと思えないから」を紹介した。
 
 出川さんのような「未知の世界に飛び込む」精神の持ち主ならばいざ知らず、ほとんどの日本人にとって、自信をもって「英語を話す」ためには、「この音ならば相手にぶつけて良い」と思えるようになるまで発音練習を続けることが必要なのだ。

 言い換えれば、「英語を話せる」かどうかは、貴方が「英語を話そう」と思えるかどうか次第であるということでもある。
 「話そうと思ったから、話せるようになる練習をする」のではない。「話すための練習を続けているうちに、話そうと思えるようになる」のだ。その瞬間が、貴方が「English speaker」になった瞬間🎉である。


⑥「話せる」が言語習得の始まり

 English speakerになった後も、未知の表現に山のように出くわす。当たり前のことだ。ある言語の全てを知ることなど、誰にもできないのだから。

 ところが、例によってここのところが日本社会では誤解されていることが多い。「話せるというからには英語を全部理解できる」「英語を話せるからには英検1級も余裕」あるいは逆に、「英検1級を取っているから、英語ペラペラなんだろう」などと言われることがある。
 
 日本語で考えてみれば分かることなのだが、ある表現を知っているorある話題についていけるかどうか、あるテストに合格できるかどうかは人それぞれである。
 従って、「◯◯していれば△△」などと定式化できるはずがないのだ。「英語を習得する過程」も人それぞれであり、「音声から」が当てはまらない人も当然存在する。自分がやりやすい方法を採ればイイ(この当たり前の理屈が長らく通らなかったのだから、日本の英語教育が迷走してきたのも無理ない😰)。

 一つだけ言えるのは、「correct pronunciation」は「correct expression」と密接に関わっている、ということだ。英語の音声にシンクロするということは、英語の表現にシンクロするということでもある。「英語を話す」ようになってから「英語表現を学習」すると、覚えやすさが格段に上がる。なにしろ、英語表現は英語の発音で話すのが最も言いやすいのだから

 「話せるようになるために学ぶ」のではなく、「話せるからスムーズに学べる」のだ。日本語でもそうでしょ?


⑦白人コンプレックス?

 本記事の終わりに、英語学習、特に英語の音声習得において、しばしば話題に上がる「白人コンプレックス」↓ について考察する。

 私は、English speakerとなってから、実に多くの「言語に関する学術論文」を読んだ(以前は読む気にもならなかったのに😁😁)。
 正直、「的が外れているなぁ」と感じたことの方が多い(その言語を使えていない人間が論文を書いていると推測する)が、その中でも笑わされたのが、「白人の発音に近づけようとするのは、白人コンプレックスの表れ」というものだ。

 正直、多くの日本人に白人コンプレックスはあると思う。私にもある。それは外見の問題なのか、使用言語の問題なのか、歴史の問題なのか・・・。おそらく全てだろう。我々日本人は、幼少期から白人コンプレックスを刷り込まれている😱。
 
 だが、これだけは間違いなく言える。英語の発音に人種は無関係だ。音声を発する機能には、何の違いもない。長年の習慣で、発音機能の使い方に相違が生まれているだけだ。

 ニュースでロシア人の英語を聞いたことがあるが、私の方が発音はキレイだった😝😝。
 いや、そもそも「ロシア人」全体と比べていることがおかしい。たまたま、「そのロシア人」の英語が私よりも拙かった(ロシア語訛りが強かった)というだけだ。言語の習熟度など人それぞれであり、「◯◯人は〜」という捉え方自体に無理がある。(なお、「お前もよく、日本人は〜とか言ってんだろ‼️」というツッコミを脳内で受信しました😅。返す言葉もございません🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️)

 そう、一度(ひとたび)英語を「言語」として使えるようになると、「人種」「民族」「国籍」に対する捉え方が変わるのだ(個人差アリ)。

 貴方はひょっとして、「白人はみんな英語ペラペラ」などと思ってはいないだろうか?
 それだけならまだしも、「外国人はみんな英語を話す」などと思っていたりはしないか?
 駅のポスターに、「困っている外国人を見かけたら、May I help you? の声がけを」などと書かれている。その後はどうするのか? というツッコミはさておき、そこには「May I help you? が通じない人もいるのではないか」という視点が抜けている。

 このような「白人だから英語の発音がキレイ」「外国人だから英語ができる」という根拠のない思い込みは、ネタとしては面白いが、言語習得には極めて有害である
 ある言語を習得できるかどうかは、どれだけその言語に触れたか、どれだけの量練習したか、にかかっている(残念ながら、最大の要因は言語センス😭😭。こればかりはどうしようもない)。「人種」や「国籍」は、英語を練習しないことの言い訳としては機能するが、英語上達の役には立たないのである。
 練習しないことの言い訳にするのではなく、練習しても練習しても英語が上達しないときに、「責任をなすりつける対象」↓ として活用してほしい。普段は封印しておくこと。

 ということで、今回はここまでだ。Nos vemos!

Now, you speak English freely.
Never say "I can't speak English"!
Just tell foreigners that your English has a Japanese accent.

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