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英語はなぜ難しいか?     (音声・会話編①)

 英語ペラペラを目指して、英語の発音・speakingの練習について説明する、「英語はなぜ難しいか?音声編」。今回から、英会話について私なりの見解を述べる。今や社会人に大人気の「英会話」。貴方も一度は興味をもったことがあるだろう。

 まずは、本記事の要約をしておく。

会話が成立するためには、いくつかの条件がある。異なる言語を母国語とする者同士ならば、音を共有することが大前提だ。correct pronunciationかどうかは当事者が決めることだが、最低限のラインはある。英会話教室で発音練習が重視されるのも、音の共有が必須だからだ。「英会話」と言われると身構えてしまうが、会話は両者が分かり合い、楽しむためのものである。言語はその手段に過ぎないのだが、日本社会ではここが逆転している。話せることを話すところから始めよう。


①「英会話」の前に

 日本社会で生きるだけならば、英語で会話をできる必要などない。何よりも、英語で話している人、英会話は「怖い」。多くの日本語  speakerの本音だろう(「英語はなぜ難しいか?」音声編②参照)。まずは、この事実を受け入れるべきだ。

 その恐怖に打ち克つためには、なにが必要か? 本記事ではそれを探っていく。

 ここまで私の記事を読んでくれている読者には容易に予想できるだろうが、何と言っても、最初に「correct pronunciation」をマスターすることだ。「やっぱりね」と思ったでしょ?😝😝

 会話は、2人以上の人間(以降は、2人として説明を進める)が存在することを前提とする。「何を当たり前のことを」と思うかもしれないが、当事者が何かを共有していることが、会話が成立する大前提なのである。裏を返せば、「相手と何かを共有できる」という信頼感がなければ、怖くて会話などできるものではない。

 日本語を話せる貴方は、日本語speakerならば誰とでも「会話」できるだろうか? 答えは「No」だ。見た目が怖い人には話しかけられない、すぐにキレる人とは話したくない、見知らぬ人に話しかけるには勇気がいる・・・。そう、会話が始まるためには、いくつかの条件が揃っている必要があるのだ。こちらの話を聞いてくれる人、共通の話題があること、自分に分かる話し方をしてくれること。

 同じ言語を操る(と予想できる)相手ですら、誰とでも会話できる・したい訳ではないのだ。まして、同じ言語を操るかどうか確信がもてない相手ならば、なおさら不安である。話す態度や内容云々の前に、同じ言語を操っているという前提が必要だ。会話において、最も分かりやすい「同じ言語を操っているという前提」は、pronunciationである。

②「correct」とは何か?

 同じ日本語の中にも、多くの「方言」がある。「訛っている」日本語の使い手と、貴方は会話できる(その他の弊害は無いものとして)だろうか?

 もちろん、「できる」。独特の表現が出てこなければ(出てきたら、質問すれば良いだけだが)、貴方は問題なく相手の話が理解できる。相手も貴方の話を理解できるだろう。

 では、「訛りがひどくて聞き取れない」日本語で話されたら? こうなると、会話は成立しない。何しろ、相手の「言葉」が聞き取れないのだから。貴方は反応のしようがない。貴方にとって、相手の言語は「自分と同じ言語」ではない。

 お分かり頂けるだろうか? 「訛っている」と「訛りがひどくて聞き取れない」の境目が、「correct pronunciation」か否かの境目である。言い換えれば、会話の当事者が音を共有できるか否かの境界線だ。当然のことながら、共有できるかどうかは、当事者が誰なのかで変わってくる。

 多くのケースで誤解されている(と、私には思える)ようだが、「correct」とは絶対的な正解を表す概念ではない。「correspond」と同じく、「一致する」というニュアンスだ。何と何が一致するのか?そう、会話の当事者達だ。すなわち、「correct pronunciation」とは、会話の当事者2人が、その範囲ならば聞き取れる・出せる、という音のことだ。

 「では、correct pronunciationかどうか、どうやって決めるんだ?」と疑問に思ったかもしれない。「correct」の意味を考えれば、答えは「自分と相手が決める」だ。それ以外の基準はない。

 「そんなバカな‼️ じゃあ、正しい発音の練習は何だったんだ!」とお怒りの貴方。これまでの記事を読み直してほしい。私は「correct pronunciation」と何度も言ったが、「正しい発音」とは一度も言ってない(過去の記事を読み返して確認しました😅)。その理由は、もうお分かりだろう。多くの日本語speakerのイメージする意味での「正しい発音」は、実は存在しないのだ。

 「会話」において何よりも大切なこと。それは、相手と分かり合うことである。これはキレイゴトを言っているのではない。会話本来の役割を、英会話を考察することで思い出してほしいのだ。そして、会話が成立する大前提が、「お互いの音が聞き取れる」ことだ。貴方がどんなに「正しい」音を出しても(出しているつもりでも)、相手が聞き取れなければ無意味である。

 では、「correct pronunciation」の習得など不可能ではないか? ある意味で、その通りである。人の数だけ、発する・聞き取れる音の数はあるのだから。だが、それにしても「この範囲なら、何とかなるでしょう」という目安は存在する。私が「音声練習編」で説明してきたのは、English speakerならば、ほぼ間違いなく出せる・聞き取れる最低ラインの音である。英語で会話をすると言うのならば、この音をクリアしておいてくれ、ということだ。

 残念ながら、多くの日本語speakerの「英語」は、この最低ラインをクリアできていない。と言うか、クリアしようと思って音を出していない(特に、我々オジサン世代は、correct pronunciationの重要性を叩き込まれていない😭😭)。これが、長らく「日本人の英語はネイティブ(私はこの表現が好きではないが、雰囲気を重視した)に通用しない」と言われ続けている理由(の1つ)だ。彼らは何も、日本人をバカにしているのではない。実際に、同じ言語を話しているとは思えないのだ。日本語speakerでもある私でさえ、日本人の「英語」に対して違和感を覚えることが多い。生まれた時からEnglishに触れている彼らは尚更だろう。そう、「ひどく訛っている」方言の使い手に対して、貴方が抱いたのと同じ感情である。

③そして、「会話」に

 様々な英会話教室のカリキュラムを覗いてみると、まずは発音練習から入る・発音練習コースが用意されているところが多い。ここまで本記事を読んできた貴方ならば、当然のことだと受け止められると信じる。信じさせてくれ😅

 だが、この発音練習が日本語speakerにとって大きな障壁となるであろうことは、容易に想像できる。「俺は英会話をしに来たんだ! 音楽教室に来たんじゃない!」と怒ったorゲンナリした経験、ありませんか? もちろん、教室の方でも発音練習の重要性を説明するだろうが、その説明で納得する日本語speakerは稀である。根拠? 私の体験談だ😡
 私は英会話教室とは無関係な人間だが、「発音練習の必要性を理解させるだけで一苦労だろうなぁ」と同情する。と言うよりも、「ある程度、発音を練習してから英会話教室に通った方がイイのでは?」と思う。

 このように、日本語とは異なる音の体系をもつ言語をやり取りするのは、非常に大変なことなのだ。練習あるのみ‼️

 果てしない努力の末に、貴方が(私の記事などを参考にして😝)英語のcorrect pronunciationを出せるようになったとしよう。つまり、音の面での「会話の前提」をクリアしたとしよう。

 その時、貴方は何を話すだろうか? 是非とも、発音練習の段階でイメージしておいてほしい。いや、もっとハッキリ言えば、「英語が話せるようになったら、こんな話がしたい、あの話題をmother tongue   speakerと共有したい」という思いがなければ、とてもではないが発音練習を続けられない。想像してみてほしい。自分の好きなことを、母国語とは異なる言語で話している自分を。その妄想(失礼!)が貴方を支えてくれる(もちろん、私の経験談である 笑)。

 

④話題は合うのか?

 晴れて、Englishで話せるようになった貴方。話したいことも自分の中で明確になっている、と仮定しよう。

 ところで、貴方の話相手(英会話教室の担当講師など)は、貴方と話題が合うだろうか? 実はこれ、会話において最も重要なポイントである。日本語の会話ならば、「相手と話題が合う」ことの重要性は意識しているハズだ。本屋さんに行けば、『◯◯話術』などの本を目にせずに帰ることの方が難しい。それらの本がまず教えるのは、話題選びの重要性だ。恋人・結婚相手を探す際にも、共通の趣味・話題をもつ相手という基準は、大抵の場合で最重要項目になっている。

 もう一度質問する。「Englishで話せる」かつ「貴方と話題が合う」という条件を満たす、話相手が身近にいるだろうか?

 私は答えを聞きたいのではない(じゃあ、きくんじゃないよというツッコミは無しでお願いします😅)。貴方に、その視点があるかどうかを確認したいのだ。日本語speakerが相手ならば真っ先に考える項目を、English speaker相手にも当てはめているだろうか?

 「Yes」と答えた人は、英語を「言語」として捉えている証拠である。ハラショー(素晴らしい)‼️  どんどん話相手と話題を増やしてください。

 そうでなかった人は、「英語」や「英会話」を、「科目・資格」と捉えている可能性が高い。別に、それで何も問題はない。ただ、「日本語speaker=日本語会話の話相手」とは限らないのと同様に、「English speaker=英会話の相手」とは限らない。英語を使いこなせることは、誰とでも話せることを必ずしも意味しない。日本語でもそうでしょ? あくまで、最低限の音が共有できるということだ。それ以上のことは相手次第であり、だからこそ話題や感情を共有できる話相手は大切だと言える。

 大切なことなので、もう一度言う。会話において最も重要なことは、相手と分かり合うことである。言語は、その手段に過ぎない。ここが逆転していないだろうか?

⑤「英会話」を困難にする要因

 これまで考察してきた内容が、「会話」に対する再(?)理解につながれば幸いである。会話とは「双方が分かり合う」ためのものであり、「お互いに楽しむ」ことがゴールだ。

 この、本来は楽しく・幸せな時間であるハズの会話が、「英会話」となると突然禍々しいものに変わる(もちろん、そうでない人も多数いる)ことが多い。私は、英語の音が出せない・聞き取れない人にとっては、英語は「奇声」、英会話は「拷問」だと書いた(音声編②参照)。本記事の最後に、なぜ英会話が多くの日本語speakerにとって「怖いもの」となるのかという原因の分析と、その対策(?)について説明する。貴方が、英語での会話を楽しむヒントになれば幸いだ。

・そもそも相手の英語を聞き取れない。特に、英語speakerになるまではキツいだろう。対策は、素直にキツいという意思表示をすること。「Pardon?」は必ず覚えるべき重要表現だ。「Once more, please.」は上から目線なので、使わない方が無難らしい(今回調べて知った😅)。「Please speak more〔a little〕slowly.」も言えるようになっておくと、なお良しだ。

・「会話相手」が(謎に)決められて、こちらに選ぶ権利がない。「話題」も(なぜか)決定されている。 speaking試験などでよく出くわすシチュエーションだろう。大体、「試験官」と「会話」なんて出来るか‼️ 完全にこちらが下の立場(これも日本人的発想か?)である。「マイクに吹き込む」もビミョーだ。試しに、日本語で自分のトークを録音してみてほしい。とても聞けたものではない。やはり、会話は対等な相手あってのものである。対策は、特にナシ。強いて挙げれば、試験と会話は別物という割り切りか?

・話しかけられた言語で返さなければならない、と思い込んでいる。「おもてなし」「お返し」の国、日本。英語で道を尋ねられたら、英語で説明しなければならないと焦る(もちろん、私の経験談だ)。よく考えると、相手が相手の言語を用いているのだから、こちらもこちらの言語である日本語で返していいハズだ。なのに、英語のほうが高尚な言語であるかのように、日本語speakerは英語で返そうとしてしまう。対策は、日本に来るのならば、最低限の日本語はマスターしてから来い‼️ くらいの気持ちを持つことだ。相手が英語を話しているのだから、「英会話」と呼んでも良いのでは?

・難しいことを話そうとし過ぎている。私は英語の他に、アラビア語とスペイン語で自己紹介できるが、英語にすれば「Nice to meet you. My name is〜. I teach〜in〜.Let's study 〜together.」程度の内容である。できることから始めればイイ。だいたい、日本語の会話でもそんなに難しいこと話してないでしょ? 会話において大切なのは、「相手と分かり合う」ことと、「楽しむ」こと。忘れないでほしい。対策は・・・、今言いました。

・相手を「絶対視」してしまっている。会話は双方の協力で成立するもの。会話が成り立たない原因は、貴方だけにあるのではない。「correct pronunciation」の項でも書いたが、「正解」の基準は自分と相手である。自分「だけ」でもないし、相手「だけ」でもない。相手の言語・発音を絶対の正解だと思わないこと。対策は、本記事を最初から読み直すことだ😝

 ということで、オチがついたところで、今回はこの辺で。それでは、イラ リカ(再会の時まで)!

できるようになる幸せは、一瞬だ。    そのために、永遠の努力を続ける。

 

 

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