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無知と未知

子どもの頃は読書感想文が苦手だった(そもそも文章を書く事自体苦手な子であった)。
だから、いつも本の最後のあとがきを適当に写していた記憶がある。

読書感想文というわけではないが、今読んでいる杉浦日出夫著の『バッハ インヴェンションこころの旅』に感銘を受けている。
(因みに著者の杉浦氏は、何年か前にピティナのステップやコンクールのアドバイザー、審査員等で間接的にお世話になった事がある。)

バッハ『インヴェンション』全15曲について隠された暗号を、楽譜と聖書やキリスト教の信仰から読み取るといったような解説は勿論のこと、『アンナマグダレーナ.バッハのクラヴィーア小曲集』や『フランス組曲』等のほかのバッハの曲を『インヴェンション』との関連を踏まえたわかりやすい解説、解釈があっておもしろい。
1章読むだけでも、セミナーで杉浦氏の講義を聞いている気分になる。

『インヴェンション』や『シンフォニア』がただの指のための練習曲じゃないことは以前から知ってはいたが、こちらの本を読んでさらにバッハについて知れたというか、自分の無知さ勉強不足さが浮き彫りになったような気がした。

『バッハ インヴェンションこころの旅』だけでなく、ほかにも音楽に関する本を読んできたが、読めば読むほど、勉強すればするほど、自分は今までバッハのことも(勿論バッハだけでなく、ほかの作曲家のこともだが)、音楽のことも全然わかっていなかったんだな、と痛感する。

いや、わかっていたつもりでいたが、それはほんの氷山の一角にしかすぎなかったし、湾曲して誤った理解や解釈になっていたのかもしれない。

けれども、無知や誤りは悪いことではない。
それに気づいた時に、未知の世界の扉を開けるきっかけになるからだ、と私は思う。

すべては自分の心次第。
今後もこれからも、未知の世界にどんどん入っていきたい。

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