【検証】Kindle出版の無料キャンペーンをやってみた結果
私は夏休み期間を使い、Kindleにて世界史の参考書を出版いたしました。その中でKindle本の販売促進方法を検索すると、よく挙がるのが「無料キャンペーン」です。
そして、多くの方が絶対に利用すべきと仰いますが、一方で、実際にそれを利用した体験談は非常に少ないと感じました。
そこで、私が著者側として「無料キャンペーン」を利用した体験談をお伝えできればと思います。
無料キャンペーンとは?
Kindle出版には販売促進ツールの一つとして、「無料キャンペーン」というものがあります。
具体的には、KDPセレクト(およそAmazon独占販売契約)登録書籍限定で、90日間につき最大5日間、自身のKindle本を※無料販売できるサービスです。
なお、この5日間をどのように使用するのかは著者自身に委ねられており、5日連続でも、2日と3日でも、1日ずつでも、はたまたそれ以外でも構いません(もちろん全く使用しなくとも構いません)。
一般的に言われているメリット
ブログ等で無料キャンペーンは以下のメリットがあるとされています。
① 自著の露出増加
② レビュー増加
③ ランキング上位獲得
④ Kindle Unlimitedからの収益増加
無料キャンペーンを利用した書籍
高校時代の手書きノートを元に執筆した高校世界史の参考書上下巻を無料キャンペーンに登録しました。
事前告知
宣伝効果を最大化するため、私のSNSアカウントで事前に無料キャンペーンを実施する旨を広報いたしました。
参考までに、noteのフォロワーは約500人、Xのフォロワーは約150人です(当時)。
① 自著の露出増加⇒○
私の場合、無料キャンペーンで1冊当たり約15冊(計30冊弱)ダウンロードされました。また、より多くの人に見てもらえたであろう、無料書籍ランキングの1位を取得できました(後述)。
さらに、X(旧Twitter)で告知したため、その分のインプレッションを獲得することができました。
これらを鑑みますと、広告費用を一切投入せずに一定程度の宣伝をすることができたと言えるでしょう。
② レビュー増加⇒×
今のところ、レビューは付いておりません。
Kindle本の売り上げを伸ばすためにはレビューをたくさんもらうことが重要だと言われますが、今回私の書籍にレビューが付くことはありませんでした。
ダウンロードされた部数を鑑みれば、しょうがない気はします。
③ ランキング上位獲得⇒◎
多くの方が仰っていた通り、無料書籍のランキング1位を取得することができました。(スクリーンショットは後半部分に添付)
ただし、正直なところ、このランキングに意味があるのかは疑問に思います。そもそも、自著を無料で公開しようとする人などほぼいませんから、競合相手はほぼおらず、現に上位100冊まで掲載されるランキングの一番最下位が9位でした。
すなわち、私の書籍が該当するジャンルならば、無料ランキングに登録するだけで自動的にトップ10に入ることになります。
多くの方が仰るように、「Amazonランキング1位取得本(※高校教科書・参考書ジャンル、無料ランキング内)」なんて書けば無知の消費者を引っかけることができるかもしれません。
しかしながら、私自身はこういった商法はあまり好きではないので、やっていません。
そもそも、Amazonのカテゴリー自体かなり細分化されており、細かいジャンル内ならばある程度容易にランキング入りできるようになっていますので、購入者側の方々には、著者のいうランキング上位という宣伝文句はあまり当てにしない方が良いということをお伝えしたいです。
⇩ナンバーワン広告の裏側⇩
④ Kindle Unlimitedからの収益増加⇒×
個人的に一番気になっていたのがコレです。
一部の方が、無料キャンペーンに登録すると、書籍購入による収益は発生しなくなるものの、自著の露出が増加するため、KENP収益(Kindle Unlimitedという定額読み放題サービス加入者の閲覧ページ数に応じて発生する収益)が増加すると仰っていたので、調べてみました。
①実施前の1週間の平日平均と実施期間中(平日2日間)の平均、②実施前1週間の平日平均と実施後1週間の平日平均で比較してみます。
まず、①についてです。実施期間中は前週比4割となりました。すなわち、KENPは増加するどころは半減したことになります。
対象期間を広げてみても、無料キャンペーン期間中のKENPが減少傾向にあるのは同様であり、無料キャンペーン実施期間中はKENP収益が減少するというのが私の所感です。
次に、②についてです。実施後1週間は前週比4割となりました。こちらも実施前と比べて半減したことになります。
したがって、無料キャンペーンを実施しても期間中・期間後を含め、KENP収益が増加することはありませんでした。
もちろん、統計サンプルも1つしかありませんから、これが正しいかは全く分かりません。しかしながら、私としては上記のような結果となりました。
⑤ペーパーバック版の購入増加⇒◎
最後に、これに言及される方はネット上にいませんでしたが、私は倍という単位数でペーパーバック版の購入数が増加しました。(今までほぼ売れていなかったというのもありますが)
ただ、これは何度も繰り返し閲覧することになる参考書は紙で見たいというジャンル特有の事情によるものではないかと思います。それゆえ、ほとんどの方の参考にならないと思われる情報ではあります。
結論:やってみて良かったか
私は出来ることなら自分の書籍を「紙で」読んでほしいという思いの下、本書を出版いたしましたので、結果、ペーパーバック版を購入して頂けたことから無料キャンペーンを実施して良かったと思います。
しかしながら、一般に言われているほどの効果があるかと言われるとやはり疑問には思います。
そもそも無料か、それとも定価かというのは両極端であり、少なくとも短期的な目線では、本キャンペーンが収益に貢献してくれると断言することまでは難しいです。
個人的にはその中間に位置する、Kindle Countdown Deals (KCD)と呼ばれる割引キャンペーンが日本でも実装されれば面白そうですね。
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