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【法学部】初学者にオススメ!最も身近な法分野「親族法」

 民法の一分野に位置づけられる「親族法」は、私の通う大学では3年次以上に配置されている選択科目だが、高学年配当科目であるという点に反して比較的難易度が低い科目である。

 というのは、法律学では一般的に抽象的、すなわち、実生活とは結び付きにくい分野ほど自らの実体験から具体的な事例を連想しずらくなるため、難解となる。
 一方で、親族法は名前の通り、端的に言えば親族関係について学ぶ分野で、例えば、結婚は18歳から(民法731条)という誰もが知っている事実もこの分野に当たる。そういった身近な法律関係について学習するのが親族法だ。

 ただし、既に知っている当たり前の事実を確認するだけの学問かと言われると決してそのようなことはない。具体的に、以下の問いに答えることはできるだろうか。ぜひ考えてみてほしい。

Q1 養子は何歳からもつことができるか。

Q2 親族とは何か。どこまでの遠縁の人物まで含まれるのか。

Q3 従兄弟(いとこ)と結婚することはできるか。

Q4 内縁の妻は夫の財産を相続できるか。


答えは以下の通り。

A1 20歳から(民法792条)

A2 ①6親等内の血族、②配偶者、③3親等内の姻族(民法725条)

A3 できる。(民法734条1項本文)
(結婚できないのは叔父叔母に当たる3親等まで。従兄弟は4親等)

A4 できない。(最決平12・3・10)


 意外と難しかったのではないだろうか。このように、分かっていそうで意外と正確には理解していない身近な小ネタを知ることができるのが相続法を学ぶ魅力だと思う。

 他に、他の科目と比べると難解ではない理由として比較的条文暗記が重視される点が挙げられる。実際、先ほどのクイズも4問中3問は条文を暗記していたか否かが正否を分ける分水嶺となっている。(※Q4は判例知識)

 おそらく法律の未修者は法律学に対してひたすら条文を覚える学問だという印象を抱くだろう。しかしながら、実際は、条文の文言の解釈や判例、学説といったものを学ぶウェイトが想像以上に大きく、しばしば初学者がギャップを感じてしまう要因の一つとなっている。

 一方で、親族法は割とそのイメージが正しいと言える。そういった意味で個人的には初学者が最もとっつきやすい法律の分野だと感じる。

 もちろん決して楽な学問というわけではなく、他と同じく深く掘り始めたら底が見えないほど奥が深い科目である。実際、夫婦別姓や近年増えている新たなパートナー関係制度といった様々な検討課題が次から次へと沸き起こっている。

 そもそも、ヒトは古来より集団を組んで社会生活を送ってきた以上、夫婦・親子・婚姻及び離婚・養子・扶養といった概念は人間と切っても切れない関係にある。そうだとすれば、親族法は人間が存在し続ける限り、時代とともに移り変われど消えることは絶対にない、他にないオリジナリティを有する法分野だと言えよう。


冒頭写真:Pixabay(2023/12/21)

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