問診について
【SHIATSU TALKS #8 】
2020年現在、世の中には色々な類の治療院と呼ばれる場所がある。
施術方法も多種多様なら、施術者も多種多様。
色々な治療院がある訳だ。
人気のあるところからそうでもない所。駅前で大きくやっている所から、うちのように完全予約制でこぢんまりやっている所。
そこがどんな形態であろうと、治療院の役割は、来てくれたクライアントを少しでも楽にして帰してあげることだと思っている。
さて、いきなりだが、ここで一つ質問。
僕なら絶対に次は行かない。
それに加えて、会計時に「次回予約は?」なんて言われた日には、「F××K!!」である。
相手の状態を把握して、治療方針を伝え、結果を共有する。
これが、僕らの施術で大事にしていることだ。
適当に話を聞かれて、よくわからない治療をされて
「はい、終わりです」にお金なんて払いたくない。
しかし、このような施術をしている施術者は、実は非常に多い。
そして、ベテランになればなるほど多くなる傾向だ。
なぜなのか?
これは僕の憶測だが、経験が長くなればなるほど、自分なりの治療法を確立する。(それは、素晴らしいことだ)
しかし、その治療法に自信を持てば持つほど、相手の話を聞かなくなる。
施術者サイドの「こうすりゃ治るんだ」的なエゴである。
昔はそれで良かった。
確かに”治療家先生”がもてはやされる時代があった。
でも、今はそんな時代じゃない。
インターネットで「肩こり」と検索すると、無数のページがヒットする社会に僕らは生きている。
毎日のようにテレビや雑誌で健康特集が組まれている。
昔に比べて、クライアントもある程度の知識・情報を持って来院されることが多くなった。
自分のエゴを押し付ける施術は、もう古いとはっきりここで言いたい。
今回から、SHIATSU CAMPの施術内容についてのお話をしていく。
施術のカテゴリー
僕らが行う『施術』は、指圧をするだけではなく、大きく分けると4つのカテゴリーに分けられ、上の図のような流れで進んでいく。
この4つのカテゴリーには、一つ一つに意味があり、どれか一つでも抜けることがあってはダメだ。
問診⇨身体のおおまかな状態を把握し、原因を特定する。
検査⇨自分なりの診断を確定させ、治療方針を決める。
指圧⇨その診断に対して治療・予防する。
評価⇨治療の結果を評価し、治療前との比較を行い、セルフケアの方法などのアドバイスをする。
特に無資格施術での医療事故が問題視されている昨今、施術を受けていただくクライアントとの*インフォームドコンセントが重要になってきているため、SHIATSU CAMPでは、問診を重要視している。
このインフォームドコンセントに関して、よく使われる言葉で、
"説明""納得""同意"の3つがあり、"納得"の部分が疎かになることが多い。
このような例がある。
一見、うまくいってないようにも見える会話だが、これも立派なインフォームドコンセントだ。
施術者側は、明確にリスクを伝えており、クライアント側には拒否する権利がある。自分が受けたくない治療を選択しなくていい。
SHIATSU CAMPでは、体質や症状を施術者側もクライアント側も理解し
「どのような治療をするのか?」
「どのくらい改善できるのか?」
「どのくらい通うべきなのか?」
を、できるだけ治療をする前にクライアントにお話をし、納得をしてもらい、同意を得てから施術を行っている。
なぜ問診をするのか?
”問診”なんて文字にすると、小難しく聞こえるかもしれないが、簡単に言うと、「調子どうですか?」ということ。
僕ら指圧師は、無差別に同じことを繰り返し行っているわけではなく、施術を受ける方の体質や年齢・症状などによって一人一人施術方法を変えている。
指圧をする部位はもちろん、強弱や圧の方向・持続圧の時間、関節へのアプローチの必要性...。
全てが目の前のクライアントに合うように考えながら行っているのだ。
なにも考えず、同じことを繰り返し行っているのは、駅前の安いリラクゼーションや適当な保険診療だけなので、まだSHIATSUを受けたことのない方は、それがスタンダードだと思わないでほしい。
僕ら指圧師は、効果の不明な電極ピタピタつけて、10分のマッサージもどきをしている所とは違うことをわかっていただきたい。
その方に最適な施術内容を提供するためには、体質や既往歴、症状を把握しなければならない。
問診はそのための一丁目一番地なのである。
リスクマネジメントとしての背景
問診をすることにはもう一つの理由がある。
それは、事故を起こさないためのリスクマネジメントだ。
例えば、重度の骨粗鬆症を患っている方がいたとする。
骨粗鬆症とは、骨が脆くなる高齢の方に多い病気だ。
何も考えずに、背中を強く押すなんてことは一般の方でも恐ろしいことを感じ取ってもらえると思う。
しかし、その方が『私、骨粗鬆症です』と最初にお話しをしてくださればいいが、案外クライアント本人が忘れているケースも多く、服用している薬などを問診した時に既往があることがわかるなんてことも、ざらにある。
この場合、ちゃんと問診をしなかったら?と考えると非常に怖い。
今読んでいるあなたは、「んなの、あたりまえだろ」と思うかもしれないが、現場に立ってみると案外見落としやすかったりするのだ。
丁寧な問診は医療事故を防ぐことができると同時に、症状改善の近道をクライアント本人から教えてもらうことができる。
2種類の問診
大きく分けると問診の種類には2つある。
「今日はどうなさいました?」のような、相手が応えることができる幅が広い質問がオープンクエスチョン。
「痛みがあるのはここですか?」のような、答える幅が限定的(YES/NO)な質問をクローズドクエスチョンという。
理想的な問診は、オープンクエスチョンから徐々にクローズドクエスチョンに移行していき、クライアントが今一番困っていることを知り、原因を特定し、検査法や治療法を決定するという流れだ。
文章にすると誰でも出来そうだが、簡単なようでとても難しいのが問診なのだ。
問診の技術
「問診で治療法の7割を決めることができなければ、治すことはできない」
僕の尊敬する先生の言葉である。
的確な問診が出来れば、症状改善の近道を見つけ出すことが出来る。事故を起こすリスクが減る。クライアントの信頼を得ることが出来る。
腕のいい治療家は、技術があるだけでなく、コミュニケーションにも長けている。そして、コミュニケーションによってクライアントを安心させ、身体を楽にさせる。
揉んだり押したりするだけが治療ではない。
問診はシンプルだけど、深く難しい技術なのだ。
president
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