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予防の本質

【SHIATSU TALKS #6】

今回で予防についてのblogも3回目になる。

今までお伝えしてきた、「健康」や「予防」の話は、新しい革新的な考え方でもなければ、”なんでも解決する”類の胡散臭い能書きでもない。

読んでいただければわかると思うが、僕は当たり前のことしか言ってきていない。

そもそも「こうすれば一発で治ります!」や「これを飲めば健康になれます!」のような類の内容をネットなどでよく見かけるが、胡散臭いものばかりで腹が立つ。

前回もお話ししたが、そんな特別な健康法や治療法はありえない

当たり前のことは、とても地味に見られがちだ。
しかし、”当たり前のことを当たり前に”行うことが物事の真理であり本質だと信じている。

真理やら本質と聞くと、難しく考えてしまいそうだが、答えは常にシンプルだ。

今回は予防の本質についてお話ししたい。

病気を治す社会と病気に罹らないように予防する社会...

どちらが健康的だろうか?

答えは僕がお話しするまでもないだろう。

予防医療とは?

はじめに、皆さんに知っていただきたいのは、我が国は、予防医療後進国と言われているということだ。

ある統計では、国民のヘルスリテラシー(健康の情報を理解し、行動する能力)のランキングで、最下位にもなっている。

日本人は健康に気を使っていそうなのに、なぜなのだろうか?

その答えにたどり着くには、まず『予防医療』とはなにか?ということを考えていきたい。

皆さんもきっと、学校の保健体育の授業などで聞いたことがあるかもしれないが、厚生労働省は、健康日本21という国民の健康の指針のようなものを発表している。

予防医療を簡単な図にしてみた。

スライド1

この図を見るとわかるように、皆さんが想像する予防とは1次予防のことではないだろうか?

しかし、予防医療とは3段階に分けられ、症状や時期によって変わる。

簡単に言うと、症状が出る前の予防が1次予防で、症状が出てからが3次予防、その中間にあるのが2次予防ということだ。

例えば、過度な暴飲暴食をしていれば、血糖値が上がりやすく、糖尿病になりやすい。脂っこいものを食べ過ぎていれば、動脈硬化の可能性が高くなり、心筋梗塞のリスクになる。

食生活の見直しなどは、一番身近な予防ではないだろうか。

予防を夫婦関係に置き換えてみる

夫婦関係と予防医療は、関係ないようで似ているところが多い。

今回は皆さんに予防医療を理解していただくために夫婦関係を例に、予防医療のお話をしていきたい。

まず、1次予防
これは、"症状が出る前"の予防とお話しした。

夫婦関係でいうところの「症状」を、"喧嘩"と仮定する。喧嘩がなぜ起こるのか?と考えてみる。

・お互いの信頼が無くなる。
・理解しあえなくなる

などが、最初の原因に上がるはずだ。
では、そうならないためにどう対処するべきなのか?

・優しい言葉遣いをする
・相手の立場になって話を聞く
・誕生日など記念日を忘れない

まず考えられる対処方法はこんなところだろうか。

ここからもわかるように、1次予防とは、日常の行動であり、皆さんにとっても身近にある存在なのだ。

話を進める。

皆さんはこんな経験がないだろうか?
パートナーが自分の知らない間に怒っている...。

心当たりの有無は、人それぞれだが、「さあどうする?」ということである。

まずは、怒っている原因をいち早く探し、ケアをしてあげないとまずい。

きっとこんな状況に陥ると、あなたは少しずつパートナーに”お伺い”をたてていくはずだ。

”お伺い”の結果、原因が昨日のあなたの行動だとしたら、その件について謝る、または、行動を改める必要がある。

問題が顕在化する前、疑いの段階で原因を特定し対処する。

これが2次予防だ。

1次予防と違うのは、すでに相手が怒ってしまっているということ。そして、この段階で”最悪のケース”というのも視野に入れておく必要がある。

なぜなら、何度も同じようなことが起きれば、夫婦の間に亀裂が生じかねないからだ。

さて、運良く2次予防の対応が功を奏し、夫婦が仲直りできたらハッピーだ。しかし、そうはうまくいかない場合もある。

もし、あなたが2次予防の段階で、無駄なプライドを持ち、意地になって何もケアを行わなかったとする。

夫婦の会話は徐々に無くなり、寝室も別になるかもしれない。食事だって作ってくれなくなるかもしれない。

仮面夫婦の完成だ。

さあここからが3次予防になる。ここでは、最悪のケースである”離婚”だけは免れたい。

これ以上関係が悪くなってはダメなのだ。

どうしてここまでケアをしてこなかったのか?
悔やんでも遅いところまで来てしまった。

さあ、あなたならどうするだろうか?

パートナーを連れ出して、昔デートした場所に行き、思い出を語り合うことなどは効果があるかもしれない。
ダサいなどとは言ってられない。
ひたすら謝ることも効果的かもしれない。なにかプレゼントを渡すなども視野に入れておこう。

ただ、お気づきだとは思うが、もうこの状態まで進行してしまったら、元の状態まで戻すことはかなり難しい。

できる限りの修正を行い、”離婚”を避けられたとしても夫婦の間にはなんらかのしこりが残るからだ。

残ったしこりが再燃し、また問題が起こらないとも限らない。

これは、病気でも全く同じことが言える。

夫婦生活で、”優しい言葉遣いをする”ように、毎日の生活の中で、少し習慣を変えるだけで、将来の結果が変わってくる。もう一度自分と周りの環境を見つめ直してみよう。

前回もお話ししたが、予防とは、前もってトラブルを防ぐことだ。

予防とは、どの段階でどのような対処をしたかで雲泥の差が出る。病気も夫婦関係も一緒なのだ。

ここで、大事なことは予防は楽しみながら行わないと長続きしないということ。
毎日パートナーの顔色を伺いながらの生活なんて人生面白いはずがない。病気になりたくないからといって、健康食品ばかり買い漁ることも同様だ。

目的をもって予防をしてほしい。

あなたは何のために予防をするのか?もう少し一緒に考えていこう。

何のための予防なのか?

皆さんは、自分で行える予防法と聞くと何を思い浮かべるだろうか?

大半の方が、"身体のための予防=運動"とイメージしてしまっているのではないだろうか?

勿論、運動は大事だ。

しかし、僕はこのblogで「ランニングをしましょう」や「筋トレをしましょう」などと一度も言っていないし、「指圧を受けましょう」などとは、一秒も言っていない。指圧師なのに。

なぜか?
もう少し耳を傾けてほしい。

僕はSTOREに初めて来ていただいた方に、問診でこんな質問をすることが多い。

『その症状が改善したら、何がしたいですか?』

痛みがある人、特に慢性的な痛みを長期で患っている人は、”痛みを治すこと”ばかりに集中してしまい、自律神経にも影響が出やすい。

痛みに集中してしまうと、症状の慢性化を引き起こしやすく、どんどん長引いてしまう。負の連鎖の始まりだ。

そもそも僕は、症状を0にすることが治療のゴールではないと考えている。

「10」痛かったものが「5」になったら、確実にできることは増えるはずだ。「3」になったらどうだろう?身体の状態は、だいぶ違うと思う。

予防の考えも全く一緒である。

”痛くならないために”や”病気にならないために”予防する前に、人生を楽しむための予防をしてほしい。

予防をすれば、趣味を楽しむ時間が増える。
予防をすれば、友人と楽しくお酒が飲める。
予防をすれば、夫婦の時間が有意義になる。
予防をすれば、子供と一緒にいる時間が増える。

答えは常にシンプルだ。

予防の本質は人生を楽しむために行うということなのだ。

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