日常に散りばめられる"当たり前"の恐怖 映画『関心領域』感想

『関心領域』
ネタバレがっつりしています。

『Here』、『VORTEX』のときから学びました。映画の感想は鮮度が大事です。
誤字脱字あったらごめんね。それでは。

映画の冒頭は真っ黒な画面。そして不快なサウンド。惹きつけられる、というか無理矢理映画の世界観に引っ張られるような、これから始まる恐ろしい世界へのオープニングとして鳴らされたように感じました。

そしてそのあと映し出される平和な家族。大きな庭にたくさんの花や野菜、温室、プールがある大きな敷地の家庭。

ただ、家族の所有品から、あとから「あれ?」と思ったのが。毛皮のコート、金歯。「歯磨き粉の中に入っていた」というダイヤ。ユダヤ人が所有していたものを名前を書いて奪い、金目のものは私物化していた。歴史の授業で聞いたことあるような描写。
それが当たり前の世界。

家の隣に収容所。
この映画では家での場面がほとんどで、収容所の中身は映されません。見えるのは焼却炉から立ち昇る煙。きっとユダヤ人が輸送されているであろう列車の煙。視覚的にはおそらくこれのみだった気がする(不適切ですが、今回は映画のセリフの中にもあったように「輸送」と表現します)。
醍醐味は音響。アカデミー音響賞を受賞した作品でもあるため、壁の向こう側から聞こえる叫び声や怒鳴り声が痛々しく、日常生活にヤスリを入れるような不気味な感触を覚えました。インタビューとかいろんな記事を見ると、かなり凝ってつくられた音響ということが分かります。

印象的だったシーンが2つ。

1つ目は、父が川に沈んだ遺骨を拾って、急いで娘たちを上らせたあと、家政婦も母も入念に、まるで穢れたものを浄化するように娘たちの身体を洗う。そのような描写でユダヤ人が差別されて、近くで虐殺が行われ、モノのように川に処理されている。という現実が平和な世界に異物として入ってくるような気持ち悪さがありました。

2つ目は、ラストのアウシュビッツ博物館が清掃されるシーン。突然ストーリー(家族の描写)と外れて、アウシュビッツ博物館の靴や所有物、囚人服、遺影の展示が映し出されて、それを黙々と掃除機をかけたりガラスを拭く清掃員。
突然現代へと場面転換されたのが意表を突かれた展開でした。

ホロコーストを題材とする映画が流行っている気がする。平和教育について改めて関心を持ったり、世界史を学び直すきっかけにもいいよね。映画にすることによって普段気にも留めないトピックが「関心領域」に入る。嫌味なタイトルでした。

いつかアウシュビッツ博物館に実際行ってみたいけれど、まずは広島や沖縄の資料館に行くのが先だよなーと思っています。歴史を学ぶ意味や楽しさが分かったの、大人になってからじゃ勿体なかったな。

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