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越後ブルー。


気づいたら、自分も越後へ行くことになっていた。会社の4人チームで、1泊2日の旅行。ごく自然にコトが進んでいった。まさか今の会社で同期以外と、しかもプライベートで旅行に行くなんて思ってもみなかったことだ。

「行って良いのだろうか・・・」

それはまるで素粒子のように微かに、けれども数多の違和感が脳裏をかすめていき、自分の脳はしっかりとそれを観測していた。

自分が社会人1〜2年目の時は、「会社の人、しかも気を遣う先輩と一緒に、プライベートで旅行に行くなんて勘弁してほしい」と思っていたに違いない。自分が逆の立場だったら、心の底から楽しめるイメージができなかった。だから同じチームでの旅行に、正直当初はあまり気が乗らなかったことを覚えている。相方の了承を得る手間も相まって、どこかで路線変更はできないものかと少し思案したほどだった。

特に4人のうちの1人である入社1年目の社員にとっては、少なからず全方位で気を遣う場であることが予想できていた。考えすぎだとも思ったし、浅い思慮のもと行ってもよいのかとも思った。

とはいえ既にコトは進んでおり、引き返すことなどできなかったため、一抹の不安を少しだけ左脇に抱えながら、朝一番に集合場所の東京駅に向かったのだった。



つづく。


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